H ZETT Mの4年半ぶりのピアノソロアルバム『共鳴する音楽』

ピアノの凄さを感じるアルバムでした

ついつい濃い味付けのものばかりに目がいってしまうALVAです、こんばんは。
音の重なりであるとか、多種多様な楽器による豪華な演奏を聞くとそれだけですごいなーって思ってしまうんですよねー。
それはそれで悪いことではないと思うのですが、料理で言えば味付けがどんどん濃くなる傾向に近いのかな。

和食のように素材ひとつの味をじっくり味わうような体験ってなかなかできるものではありません。
ギターしかいないならベースを入れれば?ドラムは?キーボードも入れよう。これじゃ歌がないからボーカルを入れよう。迫力を出すために金管を入れよう、民族楽器を使ってみよう、コーラスを入れよう…。

そうして出来上がったものはもちろん豪華で素晴らしいのですが、敢えて素材のみでどこまでできるのかを聴くというのも今の御時世、逆に贅沢かもしれませんね。

この夏のおすすめ!

そこでこの夏Radio:ALVASがおすすめしたいのがH ZETT Mの『共鳴する音楽』
ピアノ1台で表現される美しい世界観は本来独演会でしか聴くことができませんでした。
そんなレアな独演会の楽曲が収録されたH ZETT M4年半ぶりの2枚組アルバム。

私はちょこっとバンドをやってただけで音楽の知識はありませんのでたいしたことは書けないし、感じ取れないのですが素直に「ピアノってすっごーい!」と思いました。(語彙力もないことを忘れていました)

共鳴する音楽

ピアノのアルバムって退屈だ

誤解を恐れずに言うならば、今の時代ピアノの楽曲ばかり収録されたアルバムが売れる時代ではないでしょう。
どんなにプロの方々が絶賛していても一般人からするとそれを測る物差しがないからその凄さがわからないわけです。
どれだけ素晴らしくても売れないのですから、当然演奏技術や奏者の問題では決してありません。

「すごい技術だ!」って言われてもわからない人にとっては音が鳴るだけですからね。
「おいマジかよ!バックサイド・リップスライドをキメやがったぜー!」って言われてもスケボーはスケボーだろっていうのと変わりません。

何が言いたいかっていうと「わかる人にはわかる」というものは当然「わからない人には退屈」ってことです。
それはもはや絵画や彫刻と同じ”芸術作品”だから。
少数の価値がわかる人々と極少数のそれを生み出す人々が形作る文化。

それが良いのか悪いのかはわかりません。
万人が価値を見出していないのであればそれは狭い文化の中で生まれた歪なものであると言う人もいるかもしれませんし、人々はもっとクラシックや芸術をちゃんと学び価値のわかる人間になるべきなのかもしれません。

だからこそ、入門編として私はこのH ZETT Mの『共鳴する音楽』がおすすめだと思っています。

退屈だと感じる人にこそおすすめしたい

さてH ZETT Mという不思議な名前を見て、知らない人は「ああいま流行りの現代っぽいピアノを弾く人なのね」とお思いでしょう。
バンドをやっている人だと言ったらどうでしょうか。
ピアニストってどうしてもクラシックとかで演奏している人は上、バンドで演奏している人は下、みたいな風潮がありますよね。
うちのしょぼいバンドでも小学校の頃に3年間ヤマハ音楽教室に通ってたというだけでピアノほぼ弾けないのに自動的にキーボードに抜擢されたりしていたので仕方ないっちゃ仕方ないですが。笑(まわりのバンドもそんな感じでした。笑)

ですが彼の経歴を知れば誰でも驚くでしょう。
4歳の頃からピアノを学び、中学二年生の頃には自作曲でジュニアエレクトーン全日本大会で銅賞を獲得、音楽大付属高校から国立音楽大学作曲科へと進学した華々しい経歴を持った人物です。

(公式ツイッター)

そんなアカデミックな人物がこんなアクロバティックな演奏するなんてびっくりしました。笑
私が観たときは後ろ向きで演奏したりしてましたし。

そんな遊び心満載のH ZETT Mがリリースしたピアノソロアルバム。
CDですから動きは見えません。
それでも彼の遊び心満載の26曲はピアノのアルバムなんて退屈だと思う方にこそ聞いてみてほしい1枚です。

1曲目からすぐに惹き込まれるH ZETT Mワールド

1曲目は『ショーが始まる』
転調を多用したまさにショーが始まる前の観客の期待感、高揚感を感じるような演奏。
これから起こるであろう楽しい時間、美しい時間を想像してしまいます。

そこからもタイトルどおりの美しい曲が続きます。
3曲目の『踏み出すニュー』はまさに2曲目の『極秘現代』で感じた現代のちょっと歪で不穏な空気感から新たな第一歩を踏み出すような期待と不安が波のように押し寄せてくる演奏です。

5曲目『水の流れ』はピアノだけで流れる水の清涼感が感じられる美しい曲。
夏の暑さが吹っ飛ぶかのようです。

アルバム全体に確かな物語が存在していて、まるで冒険をするかのように様々な情景が浮かんできます。

ちなみにDISC2の9曲目『あしたのワルツ』は聴けばすぐわかるのですが某アヒルのCMの曲です。笑
ライブに行っていた友達は聞いたことがあったようで2年ぐらい前に教えてもらいました。
こうしてアルバムで聞くと「ホントだったんだなー」って。笑

でもその曲のすぐ次に『反骨のマーチ』なんて面白い曲が入るところなんか面白いですよね。

私みたいに音楽のことはよくわからないけど、ピアノの曲が聞きたいなーっていう人にはおすすめです。
私とおなじ20代の人でピアノ曲って退屈って思ってる人にぜひ聞いてほしいなー。
難しいことは考えず、頭空っぽにして聴けば気だるい夏の午後が一気に彩られるはず!

ってことで夏バテや夏風邪に気をつけて、たまには音楽で涼をとってみてはいかがでしょうか。
H ZETTRIOのほうもおすすめですよ。
それではまた!

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