サイバーパンク with レトロフューチャー?『2064:Read Only Memories』

”紙が語れるのは作者の言葉だけであり、この紙にはその言葉が書かれていない。”

誰しもレトロなゲームには一家言ある人が多いはずです。
マリオのようなアクションゲームやドラクエのようなRPG?
色々なゲームに出会ってきた想い出が皆さんにもありますよね。

私が個人的に色濃く影響を受けたゲームのひとつが『探偵神宮寺三郎シリーズ』です。
まだ幼かった私はFCの『新宿中央公園殺人事件』をまるで内容が理解できない中で結構遊んでいたそうです。

その後、小学生になって貧乏なウチにプレイステーションが登場しましたが、しばらく後にセガサターンを親戚に譲ってもらいそっちをメインでプレイしていました。
私にとってはテキストアドベンチャーゲームのファーストコンタクトともなった『未完のルポ』をセガサターンでプレイ。
その後の私に「ハードボイルド」を焼き付けたシリーズとの出会いとなりました。

そしてもうひとつ、これはゲームではないのですが『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』との出会いも人生に与えた影響という意味では同じぐらい大きかったです。
劇場版をビデオで観た小学生時代にあまりにも大人の世界に踏み込んでしまったとドキドキしてました。笑
それでも公開から5年以上経っていた作品にこれほど強い影響を受けるとは思っていませんでした。
この頃から私は完全にハードボイルドとサイバーパンクの世界に迷い込んでしまったのです。


さて、前置きが長いのはいつものことですがそろそろ本題に入りましょう。
今回ご紹介したいのは『2064:Read Only Memories』です。
このゲームはまさにこの長々とした前置きのゲームが好きな人にとっては要チェックのゲームではないでしょうか?

実はすでに2015年に発売されていたのでですが、英語でのプレイはどうしても厳しそうだと感じて泣く泣く断念していました。

まさに現代版の『スナッチャー』(コナミ・監督は小島秀夫さんが製作した1988年発売のサイバーパンクアドベンチャーの金字塔的作品)で是非日本語でプレイしたいという思いがついに成就し日本語版が2017年11月22日にリリースされ私は大喜びです。(PS4/PC PS Vita版の記載が公式にありますが日本ではリリースされていないようです。)

ゲームのかんたんなあらすじ

2064年のネオサンフランシスコは技術革新を迎えた世界で最も繁栄した都市の一つとなっていた。
特にサイバネティクスや遺伝子操作関連の技術が進み人々は体のほぼすべての部位を修繕・強化できるようになり、膨大な数の人々が脳と機械を接続し、仮想現実の世界で働き、遊び、繋がることができるようになった。
街には遺伝子操作によって姿を変えた「ハイブリッド」が現れその姿は日増しに人間から遠ざかっていく。
そんな状態を憂い人間性を失うことを危惧した人々は反対の声を上げる活動を始め、日増しに緊張は高まっていった。

という感じの舞台設定です。
海外モノのサイバーパンクによくある設定で王道的ではありますね。
そんな世界で主人公は売れないジャーナリストとして生活しており、偶然出会った世界初の自立思考型AIを持つチューリングと友人が失踪した謎を追う・・・という作品です。

レトロ調のゲームに愛を感じることができるようになった

ゲームの説明の前に私事ですがつい最近まで私はレトロ調のゲームが嫌いでした。
誤解を恐れずに言えばそれは怠慢だと感じていたからです。

ファミコンの時代にあのレトロなゲームが生まれたのは、ハードの制約のせいだったはず。
彼らがもし今の時代で同じゲームを作ろうとした時にはたしてわざわざレトロ調にするだろうか?
技術上の制限の中で目一杯広げたゲームこそが時代をリードして今のゲーム文化を作ったのではないのか?
あえて昔のテイストにすることは技術がなくて最新の家具が作れないから、こだわったふりをしてアンティーク調の家具を作るのと同じことではないのかと。

私は幸いにもこの考えが大きく間違っていたことに気づくことができました。
もはや日本画やフレスコ画と同じように、あえて昔と同じ手法で描くことは意味のないことではありません。
たとえどんなに技術が進んでパソコンで描けるとしても、その伝統的な手法を踏襲して出来上がった作品を否定することは愚かなことです。

レトロ調のゲームにしか描けない世界があるのです。
それを私は『VA-11 Hall-A』と『2064: Read Only Memories』で知ることができました。

ゲームシステムは古典的ながら洗練されている

ポイント・アンド・クリックアドベンチャーというジャンルに分類される本作はゲームの中で目に入った様々なオブジェクトをクリックして物語を進めることができます。
例えば上のスクリーンショットは主人公のアパートの一室なのですが、床に落ちた1枚の紙をクリックすると目のマークや手のマークが出てきます。
今回は手のマークで拾い上げて元の位置に戻してみましょう。

と、このようにかなり気の利いた主人公の独白を聞くことができます。笑

窓に挟まった本を調べるとこんなことを言い出します。哲学的なようでまったく哲学的じゃないというレトロゲーならではのクスリとくる面白さがそこかしこに仕込んであるのです。

このようにキャラクターと喋ることができます。
画面は黒い部分が多いですが、シンプルに纏められています。

こんな風に選択肢が出てくることもあります。
攻撃的なセリフから、優しさのあるセリフまでプレイヤーの様々なパーソナリティに対応できるようになっています。

作品を彩るBGMは傑作ぞろい

昔のゲームでも未だに急に頭のなかで流れ出すBGMってありますよね。
いま聞いてみると古臭いチップチューンでも当時は奥行きや深さを感じていました。
本作でもその良き特徴は継承されておりゲーム中に流れるBGMは安っぽくチープに聞こえますが、とてつもなく作り込まれておりどの曲も傑作揃いです。

サウンドトラックと一緒に購入したのですが、まだプレイしていないところは聞かないようにしているので冒頭の4曲ぐらいしか聞けていません。笑

特におすすめなのがチューリングのテーマである『Turing’s Theme』。
サイバーパンクながら柔らかい曲調は意味もなく部屋でBGM代わりに流してしまいます。
こんな曲聴きながらボロアパートの窓からサイバーな繁華街を眺めたい!眺めたい!

『Home (not) Sweet Home』もいいですね。
途中から入るメロディーがサイバーに哀愁漂う感じで。笑

基本的にファーストレビューでネタバレはしない方針ですのでふわっとした話になってしまって申し訳ありません。
今後もプレイを続けて何回かに分けてレビューを書きたいなとは思っていますのでよろしくお願いします。

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