Radio:ALVAS Game Of The Year 2020

ちょっと遅い……ってもう3月!?
去年のRADIO:ALVAS GOTYの記事を書いていた下書きが出てきたのでテキトーに直してみました。
去年はなんか忙しくて毎日更新もやめてしまったのですが!
ゲームする時間だけは確保してるのでゲーム自体は結構プレイできて楽しかったです。

正直去年の年末は『Cyberpunk2077』への期待が大きすぎて体調崩すレベルでしたね…。
今年もたくさん楽しいゲームができるといいなー!

Assassin’s Creed VALHALLA

9世紀に”ヴィークの人々”というただの一地方の民族名を、海賊の代名詞として現代まで深く刻み込んだヴァイキングを題材とした作品。
ヴァイキングとして時に略奪をし、時に人助けをし、自分たちの定住地を発展させていく。
シリーズ作品の中では異端なアサシンとしての使命も帯びつつ、古き結社との戦いも描かれる。
ゲーム自体はこれまでのアサシンクリードシリーズでは流浪の存在である場合が多かったが、今作では定住地の拡張や同盟を結ぶことでイングランドでの地盤を固めていくのは新鮮な楽しさだ。
各地のワールドイベントはニヤリとしてしまうものからホロリとくるものまであって、そのバラエティに富んだ内容はプレイヤーを退屈させることがないだろう。
反面毒キノコを食べるサブクエスト「幻影の試練」やアスレチック的な「アニムス異常現象」は説明不足の面もあり、あまり楽しさを見出すことができなかった。
また、タトゥーの図案を集めるために風に飛んでいく紙片を追いかけるクエストが各地にあったが本作のパルクールの操作感の微妙な悪さを悪目立ちさせるような内容で、自分の首を絞めているかのようであった。

龍が如く7 光と闇の行方

『龍が如く6』で桐生一馬の”龍が如く”としては一区切りつき、ついに主人公が春日一番へとバントンタッチされたシリーズにおける歴史的な作品であり新たな門出となった『龍が如く7 光と闇の行方』。
戦闘システムがターンバトルになったことはシリーズとしては大きすぎる方針転換であり、そのバランスはシンプルながらターンバトルRPGの原点に立ち返ったような内容で好評だ。
ストーリーも桐生一馬というジョーカーを軸にする必要がなかったからか、世界観はそのままに一から上手く構築してある印象。
春日一番という主人公は熱い心意気を持ったまさに「龍が如くの漢」という存在で、仲間たちとの対比もあって魅力的な存在になっている。
親分の身代わりとなって刑務所に入り、出所しても出迎えもない。
そんなドン底まで落ちた春日一番という主人公がホームレスにまで身をやつしながらも持ち前の”熱血”と”ど根性”で這い上がっていく大逆転的な展開は王道的ながら気持ちの良い内容に仕上がっている。
本作において一番評価したい部分は前作『龍が如く6』がお世辞にも良い作品とは言えないにも関わらず、続編としてしっかりと継承しそして昇華させることに成功していることだ。
春日一番を始め仲間たちも魅力的で群像劇としても良くできている。
お金がない序盤と会社経営などでお金を得た中~終盤ではゲーム内の移動範囲やできることも違い、最初はケチっていたタクシーを気軽に呼べるようになるなどRPGとしての「できることが増えていく楽しさ」を現代社会でムショ上がりのフリーターを操作しながら得られるというなんだかよくわからないがすごいゲームだ。

ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ

『ペルソナ5』は間違いなく名作であり、リメイク版の『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』も傑作であった。
そして本作『ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ』も続編として、後日談的存在として、そしてゲームとしても名作だ。
ペルソナ5でのターンバトルではなく、無双シリーズのように出てくる敵をリアルタイムアクションRPGとして薙ぎ倒していくのは爽快感たっぷり。
主人公を始めプレイアブルなキャラクターはそれぞれ違った特色を持っており竜二であれば長押しからのタメ攻撃、春は長押しで斧を振り続けるというように敵や状況に合わせて長所を活かして戦う楽しさがある。
高速戦闘の最中でペルソナを使うタイミングでは時間が止まること、ダウンすると総攻撃ができるなどペルソナ5の特色をまったく違うゲーム性の作品の中に落とし込み再現している点は本当に素晴らしい。
単純な「ペルソナ無双」ではなく、ペルソナをアクションゲームベースで作ったらというifを完璧な状態で仕上げてくれているのだ。
ストーリー面では仙台や札幌、沖縄などをキャンピングカーで移動するという青春ロードムービー的な作りになっている。
各地の名産やグルメを堪能しつつも大いなる謎に迫っていくという流れはコロナ禍で移動できない私にとって得難い作品だ。
反面せっかく地方を上手く宣伝する内容だったにもかかわらずコロナの影響で作品と同じ夏頃に現地に行けなかった人もいるだろう。その点は災難だったとしか言いようがない。
続編に駄作が多いことは間違いないが、本作は『ペルソナ5』の続編としてだけではなく、アクションゲームとしてもおすすめしたい作品だ。

Cyberpunk 2077

『Cyberpunk 2020』というTRPGを原作としたオープンワールドゲーム。
いわゆる”約束された神ゲー”だったがCOVID-19やルーズなスケジュール管理の結果現世代コンソール向けに最適化しきれず返金対応まで発生した。
次世代機やPC版でも無数のバグが存在し、バグに出会わずにクリアするのはほぼ不可能な状況。
原作と同じ2020年に発売したかった気持ちはわかるが、3度もの延期を繰り返し結果として低品質のゲームをリリースしてしまったことは擁護できない。
次世代機が発売されたばかりのこの時期にリリースするぐらいなら、完全に移行が終了してから次世代機+PCで発売すべきだった。
ゲーム自体は惹き込まれるようなシナリオ・多彩な武器・魅力的な街並みなどが存在するが、車のカスタマイズはできない・空飛ぶ車に自由に乗れない・無数のバグなどで台無しになっている。
本作の失敗は優良企業として名高いCD PROJEKTですら法廷闘争に巻き込むほどの影響を及ぼしており、COVID-19やオリンピック延期などが起きた2020年という不運な年を締めくくるに相応しいゲーム史に残る災厄となった。

あつまれ どうぶつの森

コロナで荒んだ人々に外出すること無く非日常の冒険を与えることに成功した。
無人島というロケーションの特徴を活かしつつも過去作で好評だったシステムをしっかりと継承し、目新しい要素もふんだんに盛り込んだ本作はコアなゲーマーだけでなくゲームをやったことがない人まで虜にする魅力を持っている。
無数の家具や自分でデザインできる洋服、地形まで変更できるシステム。
さらにシーズンごとに特別なイベントもあり、無人島での日常は飽きること無く続いていくはずだ。

The Last of Us Part II

アメリカ版彼岸島?『The Last of Us Part 2』感想・レビュー
アメリカ版彼岸島?『The Last of Us Part 2』感想・レビュー
『でも・・・許したいとは思ってる』

ここに書いたことが全てだが、ゲームとしての完成度の高さは疑いようがない。
ストーリー面では不可解な点がある。

Ghost of Tsushima

ゲームシステム、ビジュアル、音楽。
どこをとっても死角のない最高オープンワールドゲームだった。
海外によくある「なんちゃって日本風(なぜか赤提灯だらけ)」ではなく、違和感のない形で史実とフィクションを織り交ぜることに成功している。
ゲームのテーマもただの血みどろ侍アクションでも、人情モノの古臭い時代劇調でもなく、「誉れとは」「侍とは」「権力者とはどうあるべきか」そして「親子とは」という様々なテーマが美しい日本の景色とともに描かれている。
退屈になりがちなマップ探索も様々なアクティビティのおかげで夢中になって回ってしまった。
狐はとても可愛いし、神社は荘厳で素晴らしかった。
操作性も良くアスレチックのようなミッションもそれほど苦にならない。
戦闘面では4つの剣の型を使いこなすことができるが、ワンパターンに陥りがちで残念ながらそれほど幅を生み出すことはできていなかった。
この点ではPS2のゲームでいくつかの攻撃パターンを組み合わせて自分だけの剣の型を作るゲームがあったがそのようなシステムが欲しかった気はする。
とはいえ装備品で弓プレイ・暗殺プレイ・タンクプレイなど複数のプレイングを提示してくれているのは嬉しかった。

WATCH DOGS LEGION

レイトレーシングなど先進的なグラフィックが体験できるロンドンを舞台にハッキングを駆使して体制に立ち向かう。
明確な主人公が存在しないという革新的なシステムには驚かされたが、その分個々の操作可能なキャラクターに対して思い入れも薄くなってしまった。
自分が参加している感覚ではなく、複数人を超越的な力で操る神のような視点になってしまうことが没入感を減らしてしまっている。
RTSの兵士のような存在が死亡してもそれほど悲しくなれないのと似ている。
例えばミッション開始前にメンバーを複数選んで協力してもらいながら潜入したり、脱出路の確保をしてもらったり、襲撃を計画して実行はメンバーに任せるなど複数人だからこそできるシステムがあってもよかっただろう。
前作のような魅力的なキャラクターも少なく、作り物の世界で作り物のキャラクターを操作している不自然な感覚を覚える。
とはいえ全体を通してロンドンのランドマークなどの有名所は揃っており、現地に行ったことがある人はさらに楽しめる。

Cloudpunk

雨が降り続けるサイバー都市ニヴァリスで配達ドライバーとして生きる。
『Cyberpunk 2077』の発売までのつなぎで発売してすぐに購入したが、大当たりだった。
私の求めていた「サイバーパンクな街で生きる」という願望を一番叶えてくれたのが本作だ。
ボクセルで描かれた世界は全く違和感がなく、むしろサイバーパンクという世界観にあまりにもマッチしている。
生活感のあるサイバーパンクの街並みという点ではかなり評価が高いのではないだろうか。
リリース当初はできなかった1人称視点などもできるようになったので、まだプレイしていない人も発売当初にプレイした人にももう一度プレイしてみて欲しい作品だ。

Phasmophobia

幽霊を探知するために集められた4人が家屋・廃校・廃病院などへ向かいテクノロジーや昔ながらの伝統的な方法を駆使して調査するゲーム。
ゲーム自体は荒削りな面が多いが「幽霊を退治」ではなく「幽霊を調査」するというコンセプトが面白い。
ゲームでは様々な方法で幽霊を探知し、その種類を特定したら脱出する。
倒すのは他の業者なのかわからないが、淡々と調査し確定すると颯爽と帰っていくのだ。
4人でプレイすると「これは絶対スピリットだ。」「いやレイスじゃね?」とか言いながら考察していくのが楽しい。
ゲーム内VCを使って呼びかけるのは3~5年前だとVCの普及率の関係で難しかったかも知れない。
「アピールしてください!」と一人で話すことに恥ずかしさを覚えなくなれば一人前だ。

XCOM: Chimera Squad

多数のメンバーを募って街を守るために宇宙人やギャング団と戦う組織を運営することができる。
『Watch Dogs Legion』のように複数のメンバーがいるがそれぞれを育成するため本作では思い入れが生まれやすい。
過去のXCOMシリーズと同じような作りに見えるが、味方ターン/敵ターンという分け方ではなく素早さで順番が回ってくるシステムになっており、マップもかなりコンパクトになっている。
敵の拠点への襲撃はいくつかのパターンを選ぶことができ、潜入路によっては孤立しかねないリスクを負うかわりに有利なポジションへ突入できる。
これまでのXCOMに比べてスピーディーでオフェンシブな展開が楽しめる。
とはいえ新しい試みであることからまだまだ荒削りな面も多く、ストーリーをもっと掘り下げることもできたはずだ。
アメコミ感のあるシリーズとして次回作にも期待したい。

Mount & Blade II: Bannerlord

まだ未完成なので来年に期待!

Radio:ALVAS Game of The Year 2020

Ghost of Tsushima』

”誉れは浜で死にました”

勝つためには何でもする。
誉れを抱いて死んで民を守れぬのなら、誉れなど捨ててしまえばいい。
毒を使い、夜陰に紛れ、背を射抜く。
何も出来ずに死ぬことこそ侍の名折れだ。

勝つために何をしても良いのであれば、それは侍ではない。
刀を持つから侍なのではない、武士の家に生まれたから侍なのではない。
自らを律し、金のためでも名声のためでもなく、ただ誉れのために戦い散るべし。
それが侍なのだ。

海の向こうから最強の騎馬民族がやってくる。
1274年の蒙古襲来、文永の役を描いた本作は侍としての死に方と復讐者としての生き方がぶつかり合う最高の傑作だ。
主人公である対馬の武士 境井 仁 は味方の武士と共に元寇を迎え撃つが、武士と違い名乗りもせずただ殺戮を行うモンゴル兵に大敗北を喫す。
なんとか生き残った仁は対馬で戦い抜くうちに侍としての仕来りや作法こそが弱点となっていると考え、暗殺や毒を使った邪道とも言うべき”勝つための戦法”を採用する。
一方、仁にとって伯父である地頭の志村はあくまで”侍としての誉れ”を重視。
二人は仲の良い親子のように見えるが、少しずつ考え方の違いから衝突していく。

最高のストーリーをさらに色付けているのが美しい景色だ。
死物狂いで初戦の浜で夜戦を戦い抜き、命からがら馬で逃げ出したあとに広がるすすき野の美しさに息を呑んだプレイヤーは多かっただろう。
四季折々のあまりにも美しい景色はそれだけで十分に傑作と言えるほどだ。

戦闘システムに関してはデザインが秀逸で、序盤こそ居合抜きや殺陣で敵を倒す事ができる。
しかし中盤から敵が強くなり簡単に倒せなくなると、毒吹き矢や暗殺などの「誉れのない戦い」を自然とプレイヤー自らの手で行ってしまう。
こういった動線の作り方は素晴らしいの一言だ。

ストーリーについても志村と仁の対立は注目されがちだが、仁の乳母である百合についてのストーリーは派手なシーンが多い洋ゲーではあまり感じられない無常感で素晴らしかった。

全体を通して美しい日本の風景と誉れをめぐる男たちの戦いは2020年最高傑作だった。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加