「娚の一生」 西炯子

ちょっと古い漫画ですが、西炯子「娚の一生」を読みました。
最終巻の初版が2010年なので4~5年前ですか。

東京の大手電機メーカーに勤める堂薗つぐみは、田舎の祖母の家で長期休暇を過ごす。入院していた祖母は間もなく亡くなり、つぐみは仕事を在宅勤務に切り替え、そのまま祖母の家で暮らすことにする。翌朝家にいたのは、見知らぬ壮年男性の海江田醇。祖母の教え子で、祖母から離れの鍵をもらっていたと言う。醇と祖母との関係がよく分からないまま、つぐみとの奇妙な同居生活が始まる。(wikipediaより引用)

西先生の絵はすごい好きです。
中年オヤジ描くの上手すぎでしょ!そして女の子もかわいい。
セリフも数が抑えられていて、一つ一つがとても印象的です。

家出しようとするつぐみに海江田が「どこいく」と話しかけ「旅先でニシンなどを買いつけてくるのです」で爆笑してました。

もちろんシリアスで心に突き刺さる言葉もあります。
海江田が元カレの中川と殴り合いになった時につい中川の方を介抱してしまったつぐみを見て海江田は失踪します。
そんなつぐみを責める西園寺(海江田の秘書、金髪縦ロール完璧お嬢様)のセリフ。
西園寺「つぐみさんは…先生に愛されていることに胡座をかいていらっしゃるのよ。」
つぐみ「中川くんはあの通り意識がなかったんです。放っといて…死…」
西園寺「死んだっていいんですよあっちは!違いますか?どんな仕打ちをしても先生は離れていかないと思ってらしたんでしょうけどあなたを巡って血を流してるのに先にあっちを介抱してるんじゃそりゃガマンもキレますよ!!」
西園寺「あなたは自分がなんでも持っているから人からもらうものを大事にできないんですよ!」

これすっごい良いセリフですよね!特に最後のセリフなんか完璧!ちょっと世間知らずっぽいお嬢様なのに西園寺さん最高っすよ。
でもまぁつぐみの気持ちもわかるわけですよ。読めばわかりますが突然現れた20も歳の離れたおじさまと急にくっつくなんてどこか引っかかってしまう。
でもでも、海江田はつぐみの「心の大きなトゲ」を作り出した中川を許せんわけですよ!もう後ろから不意打ちで蹴り殺すわけですよ!カッケーぜおじさま!蹴ってるとこだけ見ると最遊記の三蔵みたい。
まぁこのシーンだけで言ったらつぐみは「身内である旦那」よりも「他人である元カレ」を先に心配するのは…ちょっと自分が王子様二人に取り合われるシーンなんて絶対ありえないのでアレですが実際自分がつぐみならどう行動したんだろう…と考えてしまいます。
元カレ云々よりも「他人」だからこそ身内よりも先に体裁上心配するっつーのは普通ではあるんですけどね。心のなかでは身内第一じゃないとね。

まだスピンオフであと1冊出ているらしいのでamazonでお買い物ですね。

映画はまだ見てませんが、大好きな俳優であるトヨエツと可愛らしい榮倉奈々ちゃん。
見てみたいとは思うのですが、監督の意向か配給会社の意向か知りませんが、足の指なめてるシーン(足キス?)だけ切り取って「過激作」みたいな売り出し方は絶対「間違い」だと思いました。
マンガの中では結構ナチュラルに出てくるし気にならなかったし、つーかこのシーン大ゴマで1ページだけですからね。
なんかアダルトな作品だと思われそうだし、ターゲット層がすっごい狭まるし…。良いことないと思うのですが。
大人の女性でも、女子中高生でも、おっさんでも若い男の子でも読んだら面白いと思うんですけどね。
とはいえトヨエツも海江田に雰囲気そっくりすぎるし(ちょっとワイルドすぎるかも)、榮倉奈々ちゃんは西先生の描く細く儚げな王道的少女漫画のヒロインにピッタリで楽しみです。
トヨエツはマジで「愛していると言ってくれ」以来の大ファンっすから。

追記:友人が「ヒロイン、小西真奈美がよかった」と言っていて妙に納得するゴリラであった。

そんなわけで西炯子先生の描く「娚の一生」、おすすめです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加