”お金”で戦い”信用”で繋がる・・・『貧民、聖櫃、大富豪』第1巻

「あのお金は使っちゃいけない金だった!!!」

貧民、聖櫃、大富豪 1 (サンデーGXコミックス)

もしお金で戦うことになったらスタートから文無し無一物なALVAです、こんばんは。

お金より大事なものは数あれど、お金がなければもとよりなにも手に入れることなどできないのでしょうね。
山を登るのにお金はいらないけど、装備にお金はかかる。
美しい海を見るのにお金はいらないけど、交通費がかかる。
愛にお金はいらないけど、生活にお金は必要です。

『ヨルムンガンド』『デストロ246』で大人気の高橋慶太郎先生の最新作『貧民、聖櫃、大富豪』はそんな「お金」の戦いです。

謎の魔力も精神力も必要ない、お金を使った戦い

現代社会において「お金」とは「血液」に例えられることがあります。
社会を健全に保つために行われる経済活動がまるで生物の機能のようだからそのように例えられるのですが、私達ひとりひとりにとってもお金は血液と同じ、いやそれよりも高価です。
多くの人にとっては400mlの血液を流すほうが、4万を捨てることよりマシだと思うでしょう。
お金とは文字通り血より、命より高価なのです。
ですが「お金」というモノはあくまで人が作り出した価値で、本来ただの紙なのです。
現代では紙幣どころかネット上に並ぶ数字でしかありません。
そんなもんだとわかっていてもコレほど大事なものはありませんよね。
私自身も誰一人例外なくお金のためなら、人を裏切り騙し欺き、そして殺すのが人間なのです。

この『貧民、聖櫃、大富豪』での”お金”もそういったものです。
”箱”によって選ばれた”主”のもとに”御使い”が現れる。
そして、御使い同士の戦いは魔力や精神力ではなく、「お金」によって勝敗が決まるのです。
それはまるでお金を巡って争う人々の戦いを具現化したかのように。

『貧民、聖櫃、大富豪』第1話を読んでわかったこと(ネタバレ注意)
『貧民、聖櫃、大富豪』第1話を読んでわかったこと(ネタバレ注意)
お金ってなんなのだろう・・・

1話時点での仕組みや御使いについてはこちらに書いてありますので、今回は単行本の内容について書いていこうと思います。

ある程度出揃った”御使い”たち

前回予想していたモレーとパラケルススが当たっていて良かったです。笑
とりあえず並べていきましょう。

アウレリア・デ・メディチ

性別:女性
主:信楽聖夜
象徴:
属性:

フィレンツェの大富豪であり統治者でもあったロレンツォ・デ・メディチの姉。
ほとんど歴史にも登場しない。
祖父はコジモ・デ・メディチでメディチ家のフィレンツェ統治の礎を築いた人物。
父はピエロ・ディ・コジモ・デ・メディチで当主としての期間は少ないが、反メディチ派をきっちり撃退した。
本当に情報が少ないので調べてもほとんどわかりません。
図書館に『メディチ家の盛衰』てあるみたいなのでそのうち借りて読んでみようかな…。
巻末に白土晴一氏の解説があるのですが、特に出典が書いてあるわけでもないのでよくわかりませんね。
歴史的には父であるピエロと弟であるロレンツォ、暗殺されたジュリアーノの功績とされたメディチ家の繁栄と反対派の制圧を影で操っていたというポジションという設定のようです。
作中では雷を使った攻撃が可能ですが、ペンより重いものは持ったことがないという体力面では脆弱な御使い。
雷での攻撃は一発2万円前後を消費します。

ジャック・ド・モレー

性別:男性?
主:祢津一哉・門倉京司
象徴:
属性:

作中では「モレー」と一度だけ紫スーツの男に呼ばれている。
その姿は騎士甲冑に身を包み、胸と兜に十字が描かれている。
第二十三代目テンプル騎士団総長。
一国以上の資産を持つ騎士団の財を狙ったフランス王フィリップ四世によって異端の濡れ衣を着せられ火刑となりました。かわいそう。
亡くなる直前にフィリップと教皇を呪って死んだとされていて、現に火刑を行った1314年にふたりとも急死しています。こわいです。

歴史上そんな記述は全くないが、髪が長く顎の形が高橋先生の描く女性っぽいので、もしかしたら女性かも?
ソリドゥス大攻撃カードを消費することで「軍城格子(インクィジティオ)」という範囲攻撃を行うことができます。
聖夜がジャンプ回避して3万円程度のダメージで済んでいるのでたいしたことないかもしれません。
300万の攻撃で相手のお金3万しか削れないとか微妙な性能ですよね。
ちなみにフィリップも御使いとして登場しているのでこのふたりが出会ったらヤバイです。マジで。

パラケルスス

性別:女性
主:安倍野晴
象徴:シャバット・土
属性:爆発と毒

15~16世紀に活躍した錬金術師「パラケルスス」。
テオフラストゥス・フォン・ホーエンハイムという名前は聞き覚えのある人も多いかも。
パラケルススはペンネームみたいなものです。
ペンネームの由来は古代ローマの医者で医学論を執筆したアウルス・コルネリウス・ケルススから。
パラを付けているので「ケルススを超えし者」みたいな感じだそう。
錬金術師として有名な人ですがその実態は科学者でもあり、本業は医者。
アレとアレを混ぜて(お子様はご両親に聞いてね☆)ホムンクルス作ってみたり、悪魔を使役してみたりと奇想天外な人。
お金に関わる逸話としては、賢者の石の錬成や当時巨万の富を生み出していた梅毒の薬の効能がないことを周知させフッガー家と敵対した。
象徴はシャバットで土、爆発と毒。
土曜日はユダヤ教の安息日。(厳密には金曜の夜から)

フィリップ4世

性別:男性
主:音無芙和
象徴:リション・日
属性:ヒドゥン:見えない

美しいその顔立ちから端麗王の名を持つ1285年-1314年まで在位したフランス王。
彼は教会政治を快く思っていなかったようで協会関係者を政治の場から排除していた。
また、十字軍を失敗して権威が失墜していたローマ教皇による回勅であるウナム・サンクタム(要するに「王様とかよりも教皇の方が偉いって認めろよ」という教皇至上主義のお知らせ)を発したボニファティウス8世になんだかんだで「おまえ教皇の資格ないわ」と言い放ち、教会財産への課税をするとまで言い始めてしまう。
しかもその後フィリップはイタリアまで派兵し、なんと教皇を追い詰めて捕らえてしまいます。
ボニファティウス8世は怒りと失望から3週間で憤死。ヤバい。
フィリップはここぞとばかりにテンプル騎士団を解散させ、その財産を没収!
その流れでジャック・ド・モレーを火刑!(ついでに幹部は拷問したあと全員火刑だ!)
ユダヤ人を追放して資産没収!
これによって王権政治を絶対のものとしたのであった!
モレーが火刑のときに呪ったようで、同年に脳梗塞で死去。
イケメンなのに怖いですね。笑

ロロ

性別:男性
主:中住那由他
象徴:
属性:

あんまり馴染みがないかもしれません。
800年代後半から900年代前半に活躍した海賊王。ワンピースじゃない方の。
生まれながらに略奪大好きっ子で、略奪しまくり。
当時のバイキングたちは略奪の帰りに沿岸の街を襲って物資を補給する慣習がありましたが、これを大小のバイキングを制圧しノルウェーを統一したハーラル1世は王例によって禁じましたが、ロロはそんなものお構いなしに略奪の帰りにちょっと国内の街をつまんで帰ったことがハーラル1世の怒りを買い、国外追放となります。
これで少しは反省するかなと思ったら、追放されたのをこれ幸いと無法者たちを伴ってさらに略奪しまくり。
現在のフランス北岸へと侵入し略奪しまくり、ついにはセーヌ川下流域のいくつかの街や地域を制圧してしまうのでした。
ヴァイキング共に略奪されまくっていた軍事力のしょぼいフランク王シャルル3世(フランスの原型)は餅は餅屋ってことでロロと同盟を組んでしまえば一石二鳥と気づいたのでした。
そんなものはお構いなしのロロはロワール川を遡上するとそのままパリの眼前シャルトルまで攻め込みます。
しかしそこでロロは敗北、このまま戦いを続けるよりもシャルル3世と和睦・条約締結することに。
ノルウェーの人たちが移り住む場所ということでノルマンディと名付けられた地を与え、ロロはノルマンディー公となりました。
その後キリスト教に改宗するも持ち前の略奪魂までは変えられず、結局周辺諸国を侵略したみたいです。

ちょっとした逸話として褒美のお礼に国王の足に口づけするよう求められましたが、拒否して部下にかわりにキスさせました。
その部下もなんと王様の足を持って逆さ吊りにしてしたんだとか。
だから作中でもロロは主を逆さまにしたんですかね?笑
グレートウェルスに参加する気があるのか謎ですが、とりあえず蜂蜜酒(ミード)を作るために養蜂している模様。

ちなみに子孫が征服王ウイリアム。

なんか弓矢撃ってくる女の子

性別:女性
主:ヒューくん
象徴:
属性:魔眼

いろいろ不明。予想しようにもちょっと情報が少なすぎます。
魔眼で女性といえばメドゥーサですが、他の御使いのようにお金にまつわる人物ではないような気が…。
アルテミシアだとしたらハリカルナッソスの海を駆ける女王なのか、マウソロスの方なのか…。
ほぼ同時期、同じ土地の伝承でよくごっちゃになるし、両者の姿として具現化した可能性も…?

ケルビムの翼について

作中におけるケルビムの翼とは七曜の刻印にしてアーク再生のかけらのようなもののようです。
この七曜はそれぞれ御使いが司る属性(守護者)として機能しており、フィリップはリションを司る御使いだと作中で明かされています。
このリションとはヘブライ語で「日曜日」という意味を持ちます。
他の羽もおなじ。

日曜日=リション:フィリップ(ヒドゥン:見えない)
月曜日=シェニー:
火曜日=シリシー:
水曜日=レヴィイー:
木曜日=ハミシー:
金曜日=シシー:
土曜日=シャバット:パラケルスス(毒・爆発)

ユダヤ教的には日曜日に世界を造りはじめたので、日曜日は1。
そこから数えて土曜日が7という数字の意味(語源)も持ちます。

てっきり召喚した日付が曜日と対応しているかと思いきや、フィリップとパラケルススの召喚日が同日なので関係ない模様。
そこから各御使いの属性が予想できると思ったのですが…。笑

それぞれの曜日によって特殊な能力があるようで、リションのフィリップは他の御使いや主に見えなくなる隠密っぽい能力を持っています。

さて、他にも色々書きたいのですが時間もないですし今日はここまでにしておきます。
また書きますのでよろしくお願いします。