日本のゲームがなぜか日本では買えない
※筆者はこのゲーム持ってません
先日発売されたKOEI TECMO GAMES CO., LTD.の『真・三國無双8』はシリーズ初のオープンワールドを採用した作品です。
国内のゲームでオープンワールドを採用した作品というのはまだまだ珍しく、発売前から大きな期待を集めていました。
しかしリリースされてみると日本国内ではPS4独占タイトルとなってしまい、PC版やXBOX版は北米などの一部の国外のみとなってしまいました。
Steamでは商品ページ自体のリージョンブロックはされていないため、現在でも閲覧・購入共に可能となっています。
上の画像にもある通り現在のレビュー評価は「圧倒的に不評」となっています。
これほど不評になった作品はとても少なく、どうしてこのような状況になったのか簡単にまとめてみました。
目次
字幕を「不具合として修正」
Steam版『真・三國無双8』は発売前から「日本語は対応していない」ことを明言しています。
この場合よく言われている「おま国(※1)」ではなく「おま語(※2)」と言うそうです。笑
※1:「おまえの国には売ってやんねーよ」
※2:「おまえの国の言語はねーよ」
しかし、発売してみると日本語字幕はデータ上ではゲーム内に存在しておりこれに気づいた日本のユーザーはゲームを購入しだしました。
このように対応していなくても言語データが入っているということは今までも多くのゲームで発生しており、レジストリを弄ることで使用できたり、言語データ自体のすり替えによって使用することができたりしました。
これは企業側で契約上の問題などで正規実装できない場合などに発生しやすく、企業によってはその状態を事実上の黙認状態にすることもあります。
今回の場合はゲーム内で言語が選べたわけではなく、レジストリを書き換えることで言語データを使用するという当然正規の方法とは呼べない状態でした。
しかし発売後すぐに日本語および中国語の字幕データが入っていたことを「不具合として修正」したとするアップデート情報が流れ、実際にそれらのデータはゲームから削除されました。
それでは時系列でこの事件を追ってみましょう。
時系列
・発売前(2月13日以前)
PC版には日本語字幕の対応がないことが明言されます。
また、PC版には版にはコンソール版ではDLCとしてリリースされる予定の衣装などが同梱されている事が発表されました。
また、2月20日までに購入すれば10%の割引が適用されます。
・『真・三國無双8』発売(2月13日)
発売後、字幕及びインターフェイスで日本語及び中国語が選択できないことに異を唱えるユーザーから「不評」レビューが大量に投稿されてしまいます。
・日本語及び中国語データが入っていることがわかる(2月13日深夜?)
正規の方法ではないが、日本語及び中国語のデータが入っていることが発売日から24時間以内に判明。
日本語化自体も比較的簡単に行うことができ、フォントデータも当然だが2バイトに対応していました。
そのためレビューの不評も落ち着きはじめます。
・アップデートで言語データを削除する(2月15日)
突如としてアップデート01.01が配信され、言語データを「不具合」として削除しました。
これに怒ったユーザーが一気に不評レビューを投稿し87%が不評という状態に陥ります。
問題点
この出来事では多くのユーザーがパブリッシャーであるKOEI TECMO GAMES CO., LTD.に対して不満をぶつけています。
本来であればもともと非対応とされていたわけですから、パブリッシャー側にも言い分はあるでしょう。
しかしだとしても不可解な点が多く存在することも事実です。
・そもそもなぜ日本語に非対応なのか
『真・三國無双8』はもともと日本のゲームソフト開発会社が開発・販売しています。
ではなぜ日本でPC版が購入できない(言語非対応)のでしょうか?
本来であればユーザーからしてみれば多くのプラットフォームでゲームをプレイできたほうが良いに決まっています。
北米および欧州ではPS4はもちろんXBOX ONEとPCの3プラットフォームで販売されています。
しかし中国と韓国、そして日本は公式サイトを見る限りPS4での独占販売となっていることがわかります。
このことから今回のPC版日本語非対応は「PS4独占タイトルとして契約しているから」と考えることもできます。
他の可能性も考えられますが(ファルコムさんのように「売れないから」という理由もあり得ます 笑)わざわざ入っている言語データを削除する理由にはなりづらいように感じます。
ちなみになぜか韓国だけは公式サイトでPS4独占っぽいのですが、PC版でも対応しています…?なんで?
※:海外版XBOX ONEバージョンでは日本語が選択できたという非公式情報もあります
・返品不可能?
今回の問題の一つに「Steamでの返品」という部分があります。
時系列を思い出して欲しいのですが、2月13日の発売から2月15日の3日間の間にSteamの返金条件のひとつである「2時間以内のプレイ」を超えてしまっている可能性が高いのです。
これはもともと言語非対応のゲームだと知った上で購入しているわけですから、自業自得だと思えなくもないですが言語データが入っているから購入したユーザーにとっては納得しづらい部分も理解できます。
例えばケーキの上にミントの葉が乗っていて、でも成分表にはミントと書かれていなかった。
でも現に乗っているわけですから、ミント好きの私としては買ってしまいます。
お家で食べようとしたら突如パティシエが乗り込んできて「そのミントは不具合!強制除去!」ってやられて、なら返品する!って言っても「買ってから2時間以上経ってるから…」みたいな感じでしょうか?笑
・言語データの混入は故意なのか
今回の出来事で一番の問題はこの言語データの混入が故意なのか事故なのかという点です。
言語データがあることがわかれば日本・中国のユーザーが購入してくれます。
この売上を得るために敢えてデータを入れたままリリースしたとしたら…?
このような推測も多く見られます。
特に中国のユーザー数は近年とてつもない量になっています。
PS4独占の契約も維持しつつ、PC版を言語非対応としつつデータを入れておき購入させて、削除すれば契約上も「うっかり」で済むかもしれません。
何より「故意だ」と証明する方法がありません。
…なんていう邪推もしてしまいますが、そんな小銭稼ぎのために危険を犯すとも思えないですよね。
でもだったら他のゲームみたいに購入画面自体をリージョンロックしてればこんなことにはならなかったんですけどね。
日本で作った中国のゲームがなぜか両国で非対応
一番面白いのがここですよね。
日本の会社が作った中国を舞台にしたゲームが両国に非対応なのです。
しかも値段も違います。
上が日本からアクセスしたページ、下がアメリカからアクセスしたページのスクリーンショットです。
・日本
\8,424(10%OFF→¥7,582)
・アメリカ
$59.99(10%OFF→$53.99)
\6,395(10%OFF→\5,756)
そもそも為替の問題があるとはいえ、その差額は約2,000円違いますです。
日本から買えること自体リージョンロック的におかしいのに、わざわざ日本専用価格まで用意してくれているのに言語非対応なのです。
ちなみに説明文まで日本語を用意してくれています。
なぜ日本語非対応なのに日本専用価格、日本語説明文まで用意するのでしょうか?
日本のユーザーが購入する場合日本語が選べないわけですから、英語などの外国ができるor日本在住の外国人しか買う意味がありません。
なら説明文は英語でいいし、価格もUS基準にしてあげたほうがいいのではないでしょうか?
こういう部分から先の「故意ではないか」という疑念が生じているのかもしれません。
言語非対応の不評レビューを抜いても傑作とはいい難い?
ということで、ゲーム本編とは関係ないところで圧倒的不評を得た『真・三國無双8』ですが、言語問題を抜きにしてもあまり良い出来ではないようです。
IGN本家及びIGN Japanのレビューを確認したところ、どちらもそれほど違いはありません。
IGNが5.8でMEDIOCRE評価。
IGN Japanが6.9でOKAY評価。
metacriticのcritic reviewsでは67/100となっています。
正直日本のゲームで「オープンワールド」と言われると嫌な予感しかしませんが、結局その懸念は当たっていたようです。
レビューを見るとマップの端は山などの「自然に通行を阻害」するのではなく、なんと見えない壁があるとのこと。
2018年に一体何をやっているのでしょうか…。
とはいえエアプなので、PS4版がフリープレイになるまで待ちます。笑
ということで今回は色々と話題になった「おま語」問題について書きました。
最近はじめたユーザーにとってはびっくりでしょうけど、Steam登録からもうすぐ10年経つ私的にはもう日常ですよ…。
ちなみに最近プレイ中の『モンスターハンター:ワールド』もPC版日本では発売しません。笑
もうPCゲーマー的にはだめだこの国…。
英語勉強しよう。(ポジティブ)