[FC5] 『Far Cry 5』ファーストレビュー ~ファーザーの恐ろしさ~

信じよ。崇めよ。服従せよ。

2018年3月29日に発売された『FAR CRY 5』は過去作からのファンも新規プレイヤーも満足することのできる素晴らしいオープンワールドゲームです。

雄大なアメリカの自然はもちろん、個性的なキャラクターや多種多様な乗り物があり、プレイヤーは様々な選択肢が与えられます。
しかし、それだけであればこれまで幾度となくプレイしてきたオープンワールドゲームと違いはありません。
このゲームで一番魅力的なのは「恐怖」。
プレイしていて、心の底から人への恐れを感じさせるのです。

※ネタバレもあります

カルト教団の恐怖

私は少なくとも最初の時点で「今回の敵はカルト教団かー。速攻でぶっ潰しちゃお。」と思っていました。
現にストーリーのプロローグであるカルト教団本拠地へのヘリによる強制着陸&教祖逮捕までの流れで周りの信者の前をウロウロしたり、教祖のサングラスを笑ったりしていました。
だってゲームですから、いくらカルトが怖くてもゲーム内では私こそが主人公で最強なのです。恐れるものなんてありません。

彼こそが”ファーザー”。カルト教団の教祖です。
どうですか、怖いですか?……怖くないですよね。
サングラスかけたヒッピー崩れのおじさんって感じ。
私も最初はそうでした。
でも今はとっても怖いです。

幾度となくゲームプレイ中に彼と主人公は向き合います。
そして慈悲によって死を免れます。
ファーザーは何度も私を殺すことができるチャンスがあったはずなのに、それでも彼は静かにこちらを見つめ、語るだけなのです。
いつしか「あれ……この人私を殺さないしいい人なのかな?」とよくわからない考えになってきます。
彼だけが知る人類の滅びが本当にあって、本気で人々を救済するつもりなのかと。
その目の奥の深い闇から気がつけば目が離せなくなってしまうのです。

彼の生い立ちや生き方を聞けば聞くほど引き込まれていくような気になります。
最初は捕らえられても「出せ!出しやがれ!」という気持ちなのですが、ファーザーの言葉を聞いてみたくなってくるのです。
例えば目の前の鉄格子がなくても、もしかしたら私は静かに彼の言葉を聞いてしまうかもしれない。
そういう不思議なカリスマ性みたいなものをゲーム内で感じることができるというのは純粋にすごいなと思いました。

また、戦闘員になるための洗脳プログラムのようなものをゲーム中で受けるのですがそれが良く出来ていて、薬で意識がないままタイムアタックのように敵を薙ぎ払うタイムアタックゲームのような感じです。
クリアしないと外に出られないので、嫌々やるのですが敵を倒すと時間が増えていく仕組みなので、気がつくとまるで戦闘マシーンのように淡々と敵を処理し続けていて人影を見たら撃つようになってしまいます。
もしあのプログラムの最後に非戦闘員の子供がいても流れで撃ってしまうのではないかと恐ろしくてなりません。
そういう部分も本物っぽくて良く出来ているなと思いました。

ゲーム自体の評価

戦闘・探索などは程良いレベルです。

戦闘

戦闘自体は『FAR CRY 5』とそれほど差があるようには感じませんでした。
クセがなく、扱いやすい銃器が揃っておりそれを扱う主人公はレティクルのど真ん中へキレイにぶっ放すだけの技術があります。
敵のAIはお世辞にも素晴らしいとは言えず、真横にいるのに気づかないなんてのはザラです。
まあ薬物やってるカルト信者ですから、そこはストーリーカバー可能なレベルでしょう。

最大二人の仲間に指示を出しながら戦うのが楽しいのですが、途中から「これひとりのほうが楽じゃないか…?」と感じました。
まずサイレントがしたいなら、自分でサイレンサーつけて倒すほうが速いです。
動物は撃たれたら可哀想なので使えません。笑
中盤辺りから攻撃ヘリでアウトレンジから警報機だけ吹き飛ばしてゆっくり残りを狩るという方法が全編に渡って使えます。
車に乗らなかったり、暇さえあればおしゃべりするのでなんだかAIがちょっぴりお馬鹿さんな感じ。
魅力的なキャラクターが多かっただけに、もうちょっと上手く活用できるようにならないでしょうか。

車やヘリの操縦は基本的に満点ですが、飛行機の操縦だけは微妙でした。
ヘリと同じような操作でも構わないはずなのに、ヨーとロールがキー操作でしかも同じキーってイカれてるんじゃないかと思いました。
百歩譲ってマウス操作は視点だけでもいいので、QとEを使うとかアドバンスモードの操作を実装するとかもうちょっとなんとかしてほしかったです。
作中でも強制的に飛行機に乗らなければならない場面が1~2回ほどあるのですが、さいっこーに苦痛でした。
よくわからない乗り物チャレンジにたまたま初めて挑戦したら飛行機のチャレンジで、世界を救うのを投げ出してゲームやめようかなと思ったレベルです。

悪い部分だけを書き出せばこんな感じですが、それらの問題点を補って余りある素晴らしいゲームです。
また過去作のように「動物を殺すことを強制する」ようなものは少なく、ミッションで数回ある程度でした。
別に動物愛護派ではないのですが、意味もなく動物一匹殺すなら10人の人間を殺したほうが気が楽っていうタイプなので…。動物好きです。お肉も好きです。

ということで、とりあえずファーストレビューということで書いてみました。
個人的にはこのゲームは2018年のGOTY候補だと思います。
もう少しボリュームがあってもよかった気はするので、シーズンパスに期待ですかね。

(この記事は2018/04/01に執筆しましたが、記事の順番などで投稿がだいぶずれ込みました。)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加