[フリースタイルダンジョン] Lick-Gが歴代2人目の制覇者に

すごい・・・!



二代目モンスターになってからも盛り上がり続ける『フリースタイルダンジョン』。
あまり書きませんが毎週楽しみに見ています。

今回は過去に3度挑戦したLick-Gが登場。(敬称略でお願いします。)
1度目は初代モンスターのT-Pablowに1回戦クリティカルで敗北。
2度目はリベンジャーズウォーで登場し、2ndステージでサイプレス上野にクリティカルで敗北。
3度目はLick-G、スナフキン、MEGA-Gと共に”スーサイダーズ”として参戦し3rdステージで敗北。

確実に進化した天才

にわかなので合ってないと思いますが、Lick-Gのスタイルはスキルに裏打ちされたどんなビートにも合わせられるフロウとそれによって生じる文字数の制限に縛られにくい押韻だと思っています。
以前EminemのインタビューでOrangeでは韻が踏めないと辞書にあるけど、最初の音を伸ばすとか母音を伸ばしワードを「曲げる(Bend)」ことで押韻が可能になるというお話を聞いたのですが、Lick-Gはそれを日本語で押韻だけじゃなくビートに乗せるために超発展させたような感じでしょうか。

英語と違い文字数が多くなりがちな日本語の場合は韻を踏めばフロウが崩れ、フロウを重視すれば譜割りの関係で文字数が著しく制限されて押韻が難しくなるという二律背反のジレンマを抱える日本語ラップにおいて母音を曖昧にしたり伸ばしたりすることでハメていくスタイルはもしかしたら最適解なのではないかと思っています。

にわか視点で言えば何よりめっちゃかっこいいという点が大きいです。

今回は以前の雰囲気とは違いだいぶキマっちゃってるような印象でしたが、それも世界観なのだと思いました。
マイクを持つと豹変するトランス状態のような感じでしょうか。

まさかの4連クリティカルで最速ラスボス挑戦へ

1st BATTLEはVS ACE。
2代目として初戦から負け続けていたACEですが最近は復調してきています。
インタビューでは対Lick-Gでは負けたことがないとのこと。
Season4以降GADOROや歩歩、GASHIMAといった強敵が初戦敗退していることもあって不安になりました。
しかし蓋を開けてみればラウンド1でクリティカル勝利。
ビートは「Confusion141/DJ KENZI a.k.a. BLACKBEATZ」。
ACEは間違いなくモンスターの中でも一二を争うほど上手いのですが2ターン制ということもありどうしても軽い印象。
あんまりモンスターが「死ね」って言うのかっこ悪いと思うんですが…。
対してLick-Gは登場時にACEのおふざけに付き合うなどまだ人間らしさがあります。笑
最初こそ相手に付き合ってステージ上に居ますが、途中から謎のダンスが始まったりといつもと違う雰囲気が漂い始めます。

2nd BATTLEは勝率トップクラスのFORK(ICE BAHN)。
大好きなFORKの登場でテンションも上がりまくりました。
これまでも流れ的に2ndで仕留めに行くスタイルをモンスター側は多用している印象もあり、ここで終わるかもとまたもや不安になります。笑
ビートは「Chevy/MUD」。かっこいいですよね。
先攻を取ったLick-Gが「韻の話ばかり」「どっちの聞き心地が良い?」と音楽的にどちらが優れているかを問いかけます。
しかしFORKも引くことはなくいつものスタイルでしっかりと返します。
Lick-Gは「うるせえ音楽やろうぜ!」と裏を返せば韻にこだわり続けるFORKのラップは音”楽”ではないという指摘をします。
ラウンド1はお互い決め手を欠いた状態で3-2でFORKの勝利。
ビート的にもスローでお互い戦いやすい印象でした。

ラウンド2はLick-Gが後攻を取ります。
FORKは苦しい時代でもマイクを握り続けた矜持を「さんピン世代の生え抜きだ」と表現します。
対するLick-Gはしゃがみ込んだ状態で一拍置いて「Right Eye 俺のほうが沸かすぜ大都会!」と立ち上がりながら勢いよく吐き出します。
その勢いにお客さんも大盛り上がり。
FORKもよくイジられる「知らねえ」を見事に武器に変えて返しますが、「そんなやつは認めねぇ 誰をも認めさす 二度見する 俺はシド・ヴィシャスだバカ」と締めてラウンド2終了。
終わっても「Mother Fxxx あー!あー!」と言いながら飛び跳ねる姿はかなりヤバいです。
しかしこれが会場全体がLick-Gの空気へと変わる決定的な瞬間だったかもしれません。
判定はクリティカルでLick-Gの勝利。
FORKは隠れモンスターとして出てきたNAIKA MC戦でも思ったのですがスタミナ的に短期決戦じゃないとフレッシュな若手相手はさすがにキツそうです。
ワードの詰まった膨大な引き出しを瞬時に開けて並べ替えるというのは将棋の棋士のように負担が凄まじく大きいのだと思います。
ただLick-Gの「景気が悪いラップはやめようぜショートケーキみたいに消毒してバイバイキン俺のライミング」の”ショートケーキみたいに消毒”は意味が通ってないのが残念。
ライムとしては景気→ショートケーキ→消毒(液)なのだが、意味が通らないと本来Forkに対しては通用しないはずなのですがForkもこの悪手を咎めることなく流してしまったのはマズかった気もします。

3rd BATTLEは輪入道が登場。
ビートは「Wait Is Over/DJ itaru」。
輪入道はこれまでのLick-Gの奇行を論って「オラもっと踊れよ、オラ座れよ、オラもっともっと遊んで上がれよ」とドスの利いた声で始まります。
「お前今日乗ってるな ビートじゃなくて調子にだな」としっかり相手に行ってしまった流れを読んで「シド・ヴィシャス早く死ねや」と締めます。
Lick-Gは輪入道の最後の死ねやをそのまま復唱し「死なないのが俺でーす」と会場を沸かせ「早く死なねぇ 何でかって俺はラップで世界を変える自身がある」と断言します。
ビートにきっちり乗った気持ちの良いラップが続きます。
輪入道は2バース目も「シド・ヴィシャスって自殺したやつなんだよ、早く死ねよ」で締めて終了。
直近のPEKO戦で「グサッと刺す」という表現をしたPEKOに対して「刺せ オラ刺せ 出来ねぇなら言うなよバカ」と言ってた輪入道すごいなーって思ってたのですが、今回軽々しく自殺しろだの死ねだの言い出して言葉のウェイトがスーパーフェザー級に感じられてしまいました。
PEKOの比喩的表現の「刺す」をわざわざ論ってあれほど指摘したのにここでこんな軽々しく「死ね」って言うんかーいって感じです。
かたや世界を変えると宣言してスキルを磨くLick-Gと若手相手に死ね死ね言い続ける輪入道。
結果は当然輪入道のクリティカル負け。
こればっかりは言葉で勝負してる男の中の男って感じの輪入道が二枚舌なんだからダメでしょって感じです。
テクニックでスキルフルなLick-Gと男気溢れる輪入道の戦いが見れるとワクワクしていましたが、尺も稼げないしチンピラみたいだし小学生のケンカみたいだしもうなんだか残念すぎます。
カッコいいときの輪入道を知っているだけにただただ残念。
こんなことなら輪入道よりも裂固が出てきてくれたほうが因縁もあるし若手対若手で良かったように思えました。

ここで4/25の放送が終了。
まさかの1日で3クリティカルヒット。
ラウンド数は4戦です。

1週間後の5/2の放送が開始。

4th BATTLEは呂布カルマの登場。
FORKが負けてしまった以上最後の砦になれるのは彼しかいません。
ビートは「Make It Bun Dem/Skrillex & Damian”Jr.Gong”Marley」。
素人目ではダブステップでラップ向けのビートじゃないように思えますが、Lick-Gは難なく乗りこなしてしまいます。
内容的にはまだまだ探り合いの段階といった感じでしたが、まさかの呂布カルマのクリティカル負け。
呂布カルマも「デカくなったのは図体と態度だけ」と煽り、ライブでの口パクをプロのやる仕事じゃないと切り捨てます。
自分流で乗る呂布カルマとビートにそのまま乗るLick-G。
どちらも難しいビートを乗りこなしています。
正直クリティカルほどの差があったようには思えませんでしたが、3-2または4-1でLick-Gの勝ちでしょう。
Lick-Gに対して過去と変わってないという方向で攻めたカルマでしたが、明らかにLick-Gは進化しているように見えたので、言いたいことはわかるのですが…。
ビートに乗るのもカルマの独特なアプローチに対してLick-Gはビートに柔軟にピッタリと合わせに行きます。
韻の踏み方もLick-Gに軍配が上がるでしょうし、せめて内容ではカルマがリードして欲しかったですね。

ここまで放送時間的には前回と合わせて45分程度。
4連続クリティカル勝利という恐ろしい状態になります。

PEKOに続き2代目体制で2度目の般若戦

ビートは「NITRO MICROPHONE UNDERGROUND/NITRO MICROPHONE UNDERGROUND」。テンション上がります。
ついにやってきた…と言うほど苦しい道のりには見えないのがLick-Gの恐ろしいところ。
あれほど憔悴しながら登ってきたこれまでのチャレンジャーと違い傍目ではLick-Gのスタミナは全く消耗していないように見えます。
まずは般若が「いつもの般若じゃねえ」といつもと違うことを強調します。
Lick-Gはまさかの片耳に指をツッコミ顔を顰めています。
がなるようなラップをする般若のスタイルに対して音楽じゃなくて怒鳴り声だろと言わんばかり。
PEKO戦があれだけリスペクトに溢れていたのに、あまりにも新鮮です。
「耳が痛い ちがうね お前の存在が痛い。」と般若が言えば「俺の存在が痛いって 存在 存在 お前は ブンバイバイ  ラップのレベルはこいつは文化祭」と連続で韻を踏んで返します。
これまで向かい合って全力のぶつかり合いをしていた般若をまるで相手にしていないかのようなLick-Gのスタイルはかなり相性が悪そうです。
水剋火のような関係ですし、相手が熱ければ熱いほど般若は相乗効果でどんどん強くなっていくのでこの戦い方は効果的に見えます。
2バース目で「会場 俺の才能 開放」と単純ですが強力なワードセンスで大きく会場を沸かし4-1で勝利。
いとうせいこうさんがよくやるように審査員で唯一般若に入れていましたが、事実上のクリティカルに近いと思いました。

2ラウンド目は「やべ~勢いですげー盛り上がる feat.stillichinomiya/田我流」のビートでスタート。
スピードが早くトラップとの相性の良いLick-Gにとってはアウェーのように思えます。
般若は先行で勢いよくラップしますが自分で言ってるように若干ビートからずれてしまいます。
いつもの般若なら熱さと勢いで縒れてもそれほど気になりませんが、今回はLick-Gがキレイにハメるのでどうしてもズレると目立ちます。
対するLick-Gはビートにキッチリ乗りながら「どっちが証明 かます all day これが表現 上げまくるぜこれが暴言」と日本語なのに角のないフロウとライムが最高。
ここからLick-Gの怒涛のスキルが炸裂しクリティカルで勝利。
般若とは明らかに相性が悪い・・・というよりもはや日本のラッパーは即興で音源並みに乗れるLick-Gを止めることはできない唯一無二のラッパーになったと思いました。

「サクッと勝てて嬉しいです」という言葉通り、Lick-Gは明らかに次元が違うと感じました。
バトル引退の話は何度も出ていますし、現にブランクもありました。
これでバトルとは離れていくとしても音源があまりにも素晴らしいのでそちらに力を入れてほしいようにも思います。
天才には往々にしてあることですがシド・ヴィシャスの名が多く出たこと、そして最終戦で「俺が死んでも10年後俺の音楽は生き残り続ける。 それだけ。それだけ。それだけ…。」という言葉に少し怖さを感じました。
才能を活かせる環境を見つけて日本だけでなく世界で活躍するアーティストになってほしいですね。

最後にミーハーですが大好きなMellow Akiraを。


  • このエントリーをはてなブックマークに追加