[Cyberpunk 2077] 再々延期12月10日発売。延期までの時系列を追う。

延期、そして延期、さらに延期。

連続する延期で意識を失いかけているALVAです、こんばんは。


もはやゲーム自体が私の電脳がハックされて生まれた妄想だったのではないかと疑いつつも11月の発売を楽しみにしていましたが、この度またしても延期ということになってしまいました。
ゴールド(開発完了)を宣言された本タイトルで一体何が起こっているのでしょうか?

延期、そして延期、さらに延期で12月10日発売へ

2020年最大のタイトルとの呼び声も高い『Cyberpunk 2077』ですが、本日10月28日 AM1:35に再々延期が決定しました。
新しい発売日は12月10日
もはや年末でPS5も発売からほぼ1ヶ月が経過している頃ということになりますね。

Cyberpunk 2077延期の歴史

そもそも本作の発売日は2020年4月16日でした。
いったいどのようにして延期が立て続けに起こってしまったのかを時系列順に追ってみましょう。
(2011年の夏ごろにはThe Witcher3とCyberpunkを制作することは決定していたらしいです)(*0)

・2012/05/31
『Cyberpunk』というタイトルが開発中だとCD Projekt RED Summer Conference 2012にて発表。『The Witcher2』の成功と共に伝えられた。社内には2つのAAAロールプレイングゲームの開発チームがあり、そのひとつとして発表されました。もちろんもう一つは既に発売中の『The Witcher3』です。

・2012/10/19
短い動画にてタイトルが発表。正式タイトル名が『Cyberpunk 2077』となることがアナウンスされます。(*1)

・2013/01/10
ティザートレーラー発表。(*2)

・2013/10/15
ネットニュースなどでWtcher3とCyberpunk2077はうまくいっていると関係者の発言を掲載。また、次世代コンソールで発売される可能性を示唆しました。(当時の次世代機はPS4を指している)(*3)

・2014/3/12
最新作『The Witcher3』の発売日が2014年後半から2015年2月へと延期を発表。(*4)
少し遅れて延期の理由として”既にメインストーリーは最初から最後までプレイ可能”、”クオリティのブラッシュアップ”、”プロモーションも活性化したい”という理由なども報道された。(*5)

・2014/03/13
Gamespotのインタビュー記事にてCD ProjektRedのCEO MarcinIwinski氏が「Witcher3の遅延は別のチームであるためCyberpunk 2077の開発には影響しない。」と語った。(*6)
またWitcher3の開発が大規模化したため、一部のCyberpunk2077の開発者をWitcherチームに異動させていることを明らかにしました。

・2014/12/09
『The Witcher3』の再延期がアナウンスされ、新しい発売日は2015年5月19日へと変更。(*7)
延期の理由はゲームの規模などによって発売直前にさらなる修正が多数必要になったからと伝えられています。
またスケジュールの見通しの甘さについても発売を焦ってしまったことをファンに謝罪、大きな反省点としています。

・2015/05/27
今後数年間は『Cyberpunk 2077』については話さず、『The Witcher3』に注力していきたいとロイターにCDProjekt studio chief executive Adam Kicinski氏が語りました。(*8)

・2015/06/19
E3 2015にてCDProjektのMarcinIwinski氏、Michal Platkow Gilewski氏が『Cyberpunk 2077』について言及しました。
インタビューではBethesdaの『Fallout 4』のロールアウトに触れました。「ここにあるんだ、本物だ、この日に出るんだ」という発表の姿勢に感銘を受けたとし、「私達も同じようにしたい」と語りました。(*9)

・2015/12/08
Gamereactor Germanyによると会社に近い人物から2016年中にリリースを予定していると語りました。(*10)

・2016~2017
『The Witcher3』の成功によって『Cyberpunk2077』はそれほど焦点を当てられることはなくなりました。
第3スタジオを開設したことや、『The Witcher3』よりも野心的な作品になることなどが断片的に伝えられました。

・2018/06/10
E3 2018でトレーラーが発表されました。(*11)

・2018/08/27
48分にも及ぶゲームプレイムービーが公開。(*12)
この映像はまだ開発段階のテストプレイで本来は報道向けに作られたもので、完成からは程遠い状態だとしています。

・2018/11/26
CD PROJEKTが2018年第3四半期決算説明会を実施しました。
その中で直前に発売された『RDR2』が2度の延期を超えてほぼバグがない状態で発売されて高評価を得たことを引き合いに出して『Cyberpunk2077』は完全な状態でリリースするのか、それとも開発スケジュール通りリリースして後からバグを修正するのかについて質問しました。また『The Witcher3』ではバグの修正に発売から3ヶ月かかったことも補足しました。
これに対しCEOのAdam Kiciński氏は高品質なゲームを届けることは最重要課題だと発言しました。(*13)

・2019/06/10
E3 2019にて『Cyberpunk2077』の発売日が2020年4月16日になると発表しました。(*14)

・2019/11/22
2019年第3四半期業績発表において『Cyberpunk2077』の開発状況が重要な最終ステージに突入したと話しました。(*15)
また2~4年かけて新作を投入するスタイルのCD PROJEKT REDはリリースが収益に大きな影響を与えるとしている。

・2020/01/17
『Cyberpunk2077』の発売日が2020年4月16日から2020年9月17日に延期することが発表されました。(*16)
現在ゲームは完成してプレイできる段階ですが、広大なロケーションや複雑なストーリーなどの調整に時間がかかっていると説明。
また強制しないとしていたクランチ(ゲームリリース前などに行われる長期間にわたる半強制的な長時間労働)もある程度必要となることを説明。
なぜリリース3ヶ月前という発売まで間もない時期に延期を発表したかについては”適切だった”と回答。遅延により計画したものを提供できると確信しているとも発言。

・2020/01/27
ポーランドのゲーム業界事情を知るというBorys Niespielak氏によると延期の原因はコンソール機、特にXbox One向けの深刻なパフォーマンス最適化不足だと発言。(*17)

・2020/06/19
発売日再延期によって11月19日発売だと発表。

『サイバーパンク2077』の開発状況ですが、コンテンツとゲームプレイの両面においては、既に制作が完了しています。クエスト、カットシーン、スキル、アイテムなど、ナイトシティでの冒険がすべて実装されている状態です。しかしながら、膨大なコンテンツとシステムが複雑に交差する本作では、すべての実装をチェックし、ゲームバランスをきちんと取り、膨大な数のバグを修正しなければなりません。巨大な世界を舞台にするということは、それだけ多くの要素を取り扱うことを意味します。それらの調整に今回延長した期間を投じて参ります。

ということで、ゲームはできてるけどバグ修正などに時間がかかっていることを説明。(*18)

・2020/09/30
強制しないとしていたクランチを従業員に求めていることが発覚。(*19)

・2020/10/05
ゴールド(開発完了)したことが発表された。
CD PROJEKT RED JPNの本間覚氏もTwitterにて”11/19への障害はなくなった”とコメント。

・2020/10/10
開発完了後ではあるがクランチなどによるスケジュール問題で更に延期する選択肢を検討しているという噂が流れました。(*21)

・2020/10/12
CD PROJEKT RED JPNの本間覚氏がTwitter上にて噂を否定。天変地異でも起こらない限りマスターアップしてパッケージ版の製造が始まっているにも関わらず再々延期はないと断言。(*22)

・2020/10/28
再々延期が発表。新しい発売日は2020/12/10となりました。
既にマスターアップされているにも関わらず、この時点ですべてのプラットフォームにて正常に動作するか自信がないとのこと。
つまりDay0パッチで足りない部分を修正するために延期するということ。

マスターアップしてるのに完成していないの?

このことからわかることはマスターアップして現在プレスされているであろう物理メディア版の『Cyberpunk2077』は未完成品だということです。
確かに最近のゲームでも大容量のDay0パッチがあるゲームは多いですが、Day0パッチのためにマスターアップしたAAAゲームが延期したというのはかなり稀なケースではないでしょうか?

時系列でも書いたとおりそもそもCD PROJEKT REDは開発スケジュールの見通しがかなり甘いことがわかります。
他の開発会社ではもう少し早い段階で延期の告知をしますし、この時点では店頭ポスターなどの販促グッズも発売日表記の修正が必要になり、あまりにも多くの混乱を招きます。

通常であれば延期というのは最後の手段であり、1度の延期ですらかなり細心の注意を払って行われます。
しかしCD PROJEKT REDは楽観的で短期間の延期を繰り返し、あまりにも軽率なスケジュール設定と延期決定を繰り返す点は理解に苦しみます。

なぜ延期を繰り返すの?

これも個人的な推測に過ぎませんが、CD PROJEKT REDのビジネスモデルに起因する部分があると考えています。

1つ目は「数年に一度の大作で食いつなぐ」こと。
『The Witcher』シリーズの成功からわかるように、同社は数年に一度のビッグタイトルで食いつなぐようなビジネスモデルになっています。
当初はAAAタイトルを2つの開発チームで同時並行して制作しているかのように発表しましたが、その実態は開発者が足りず『The Witcher3』のDLC開発が終わるまで『Cyberpunk 2077』の開発チームにはほぼ人がいなかったことがわかっています。
このことからわかるのは同社にとって数年に一度のビジネスにおいて少しの失敗も許されないということ。
しかし裏を返せば1日でも早くリリースしないと同社の経営状況は日毎に悪化していくということです。
そのため大幅な延期はできず、結局短い延期を乱発することにつながっているのではないでしょうか?

2つ目は「そもそも開発が効率的ではない」ということ。
CD PROJEKT REDは大手ゲーム開発会社ですが、その実態は複数の大規模開発チームを運営するだけの力は無く、極力避けると言っていたクランチも実施するという状況。
スケジュールの設定も長期的な目線では行うことができず、短期的な延期を繰り返すことから制作スケジュール自体が大きく破綻しているのは間違いありません。
良く言えば職人気質と言えるかもしれません。
効率的すぎると味気のないゲームになりそうですし、個人的にはCD PROJEKT REDの職人気質なところは大好きです。

再々再延期は来る?

正直な話『Cyberpunk2077』の再々再延期(4度目の延期)は十分にありえると思います。
今回のスケジュール問題はそもそもコロナウイルスの世界的大流行による影響はかなり大きいと考えられ、その点についてCD PROJEKT REDを責めるのはあまりにも酷な話です。
コロナウイルスによって予想もできない障害があるわけで、たった21日間の延期で本当に大丈夫なのかという不安はあります。

しかし、逆に考えるとプレスし終わったパッケージ版は発売までどこかに保管しなくてはなりません。
マスターアップ前であれば必要なかった心配ですが、パッケージ版の製造スケジュールまでずらすのはかなり難しいと思われるので製造自体は当初のスケジュールで行うはずです。
保管のためのコストをCD PROJEKT REDが払うのか、それとも小売店が払うのかは知りませんが間違いなくマイナスの影響は大きいです。
つまり、そういった損失を恐れて12月10日にはDay0パッチの完成・未完成に関わらずリリースを強行せざるを得ないと考えることもできます。

さらにこれ以上延期すると年を跨いでしまうことになります。
原作である『サイバーパンク2.0.2.0.』のことを考えると本年中に発売したいという思惑はあるはずです。

ゲームは大丈夫なの?

ゲームに関してはプレイできないほどの状態ではないと思います。
9種類のプラットフォームに対応させるために苦労していると発表されていますが、延期までするということはかなり高いレベルのバグが複数発見されている可能性も捨てきれません。
プラットフォームごとの問題なのか、それともそもそもゲーム自体にSやAレベルのゲーム進行が難しいバグがあるのかはわかりませんが、それでも少なくともゲームとしてはほぼ完成しているはずです。

特にSteamなどでは発売当初に大きなバグや進行不能な問題、プレイヤーにとって開発側が想定しない不利益等が発生すると一気に低評価が付いてしまう現象が発生します。
そういったリスクを避けるためなのではないかなと思います。

延期によるゲーム販売の影響は?

Rockstar Gamesの最新作『Red Dead Redemption 2』は2度の延期を超えて発売され、大きな成功を収めました。
一見すると似たような状況ですが、RDR2との違いは延期を長期的な目線で現実的な発売日設定を行ったことです。

RDR2は2017年秋→2018年春→2018年10月26日と延期していますが、詳細な発売日の告知は最後の延期でしかしていません。
そしてその約束をしっかりと守って発売されました。

『Cyberpunk2077』の場合は発売日を設定しているにも関わらず再々延期となっていることが大きな違いとなるでしょう。

とはいえゲーム販売への影響は限定的だと思います。
おもしろゲームさえ世に出してしまえば、全てが正当化される世界です。
ギャンブラー的な部分もあるかもしれませんが、面白いことが何よりも優先されるべきなのがゲーム業界ですよね。

再々延期がプラスになることも!?

注釈

*0:httpss://www.eurogamer.net/articles/2015-08-17-inside-the-witcher-3-launch
*1:httpss://www.youtube.com/watch?v=cGmWwFpNIHg
*2:httpss://www.youtube.com/watch?v=P99qJGrPNLs
*3:httpss://www.ign.com/articles/2013/10/14/cyberpunk-2077-is-probably-coming-to-next-gen
*4:httpss://www.ign.com/articles/2014/03/11/the-witcher-3-wild-hunt-release-date-delayed-to-2015
*5:httpss://doope.jp/2014/0332558.html
*6:httpss://www.gamespot.com/articles/witcher-3-delay-does-not-affect-cyberpunk-2077/1100-6418262/
*7:httpss://www.gameinformer.com/b/news/archive/2014/12/08/the-witcher-3-wild-hunt-delayed-again-arriving-in-may.aspx
*8:httpss://www.ign.com/articles/2015/05/27/cd-projekt-red-wont-talk-about-cyberpunk-2077-until-2017
*9:httpss://www.ign.com/articles/2015/06/18/cd-projekt-talks-cyberpunk-2077
*10:httpss://www.gamereactor.de/witcherstudio-will-cyberpunk-2077-nun-ende-2016-veroffentlichen/
*11:httpss://www.youtube.com/watch?v=8X2kIfS6fb8
*12:httpss://www.youtube.com/watch?v=vjF9GgrY9c0
*13:httpss://www.cdprojekt.com/en/wp-content/uploads-en/2018/11/q3-2018-cd-projekt-group-teleconference-transcript-1.pdf
httpss://automaton-media.com/articles/newsjp/20181126-80338/
*14:httpss://www.youtube.com/watch?v=qIcTM8WXFjk
*15:httpss://www.cdprojekt.com/en/investors/
httpss://automaton-media.com/articles/newsjp/20191122-106903/
*16:httpss://twitter.com/CDPROJEKTRED/status/1217861009446182912
*17:httpss://automaton-media.com/articles/newsjp/20200127-111537/
*18:
*19:httpss://www.bloomberg.com/news/articles/2020-09-29/cyberpunk-2077-publisher-orders-6-day-weeks-ahead-of-game-debut?utm_medium=social&utm_source=twitter&utm_campaign=socialflow-organic&utm_content=business&cmpid=socialflow-twitter-business
*20:
*21:httpss://wccftech.com/cyberpunk-2077-delayed-again-extra-work/
*22:httpss://twitter.com/homma_force/status/1315494185139671042