[FGO] 第2部3章クリア後の感想

素面のときは共に喜び、酔ったあとは別れてゆく。

※感想なのでネタバレだらけです

第2部3章のあらすじ

第2部3章(LB3)は3つ目の異聞帯である中国異聞帯を舞台に汎人類史の存続を賭けた戦いが行われました。

LB3までのおさらい

第1部のテーマである「人理焼却」を多大な犠牲を払うことで防ぐことに成功した主人公属する人理継続保障機関カルデア。
人類滅亡の阻止という大きな戦いを終えて過去へ介入するレイシフト技術は凍結、カルデア内に召喚されたサーヴァントの退去、国連査察団の調査などが始まる。
全てが終わり平穏が訪れるはずだったが、カルデアは謎のサーヴァントとそのマスター「クリプタ―」によって制圧されてしまった。
なんとかカルデアから逃げ出した主人公たちの眼前には漂白されて何も残っていない白い大地だけが広がっていた。

中国異聞帯

第2部において3つめの異聞帯「中国異聞帯」は豊かな麦畑の広がる平穏な異聞帯でした。

これまでの異聞帯と違い温暖で多くの人が暮らす世界です。
貧いながら農業に従事する人々には飢えもなく、寒さもなく、争いもない。
これまでの「汎人類史に比べてあまりにもひどい状態」ではなく、一見すると汎人類史よりも「正しい」気すらしてしまいます。

クリプタ―・芥ヒナコ と サーヴァント・蘭陵王

3人目のクリプタ―芥ヒナコが従えるサーヴァントは雅楽の演目にもなった蘭陵王こと高長恭。
蘭陵王の逸話はとても有名で演劇やドラマになったりと大人気です。

芥ヒナコはこれまでの落ち着いた印象と違い、剥き出しの敵意をぶつけてくるキャラクターとして描かれています。
カルデアがシャドウボーダーで中国異聞帯へと侵入するとすぐに駆けつけてきて戦闘になるほど。
ダ・ヴィンチは人物評価から唯一話し合いで解決できるかもしれないと思っていたようですが、カルデアのデータベースからは乖離したパーソナリティを見せます。

中国異聞帯の王・始皇帝

秦の首都である咸陽の上空に浮かぶこの異形の物体こそが始皇帝。
仙術の奥義によって生まれた哪吒の技術を利用して、様々な科学・仙術を応用した体で不老不死を実現しています。

当初は人型の姿を一切見せませんでしたが最終決戦が近づくと「人として」主人公に戦いを挑みます。
神に等しい存在となっても地に足をつけ自身の実現した世界に絶対の自信を持つ。
正々堂々と戦い、負ければ潔い。
だからこそクラスはルーラー。
世界の平定を成し遂げた偉大な王でした。

始皇帝の忠実なる臣下たち

始皇帝はその手腕と精強な臣下によって世界の平定を成し遂げました。
功を挙げた臣下は驪山(りざん)の冷凍施設で凍結保存され、必要な時に解凍されるようになっています。

これがサイバー兵馬俑か!
桃園ブラザーズも眠るとのことで恐ろしすぎます…。

解凍された一人目が秦良玉さん。
トネリコの槍を持つ白杆兵を従えて時の王朝のために戦い続けた正史に列伝を持つ本物の女傑。
創作や劇などのために生み出された女性ではなく、実在したであろう武将です。

冷凍保存2号の韓信は「国士無双」の語源となったほどの天才であり、背水の陣などの戦いをした方。
こんな姿ですがその波乱万丈すぎる人生は凄まじく、天才にして奇才。
恐らくどの軍師よりも恐ろしい存在。
せっかく登場したのにあまり活躍できなかったのが残念すぎます。

冷凍保存されてなかった人。
衛士長として始皇帝に付き従う。
恐らく正体は異聞帯の李書文さん。
強い。

そして最後に項羽。
彼は仙術ロボットなのでした。
ロボットでしたが人型で強いので、汎人類史では項羽という名で人として戦いました。
愛人に虞美人がいます。

芥ヒナコの正体

クリプタ―・芥ヒナコの経歴は全て偽物でした。
彼女は自分のサーヴァントである蘭陵王を喰らうことで…。

真祖の吸血鬼としての本性を現しました。
彼女は虞美人として生き、死ぬことなく現代まで生きていたのです。
イケメンを喰って進化した…!

感想

ということで色々とあったLB3。
感想としては「味は若干薄いが、これまでより後味がすごい良かった」という感じでした。

正直登場人物多すぎる割に、あまり動きがない印象。
サーヴァントで味方に哪吒・モードレッド・荊軻・スパルタクス・赤兎馬・陳宮。
カルデア陣営に新所長・ホームズ・ダヴィンチ・ムニエル・マシュ・主人公。
異聞帯側が芥ヒナコ・蘭陵王・始皇帝・項羽・秦良玉・韓信・衛士長・村人たち。
それに物語をかき混ぜるコヤンスカヤさんで登場人物が約20人。

少なくとも赤兎馬、陳宮、モードレッド、韓信はいなくてもストーリーはなんとかなった気がしないでもありません。
もちろん大好きなので出てくれて本当に嬉しいのですが…。
もうちょっと各サーヴァントを掘り下げても良かったんじゃないかなーって感じでした。
モードレッドはスパルタクスの代弁者であり理解者というのもわかるのですがスパルタクス退場後は異様に影が薄くなってしまったり、国士無双と称された韓信の策士ぶりも見れず、陳宮と赤兎馬はボケとツッコミを繰り返している感じでした。
哪吒は「仙術ロボット・項羽」の仕組みを解説するためだけにいたのかな…。活躍してほしかった…。

蘭陵王も食べられちゃうまでは活躍してた…と言いたいところですがクリプターのサーヴァントなのにこちらも存在感がほぼ無く撤退を繰り返して、冒頭から回想で無念の死のシーンを見せた割には中盤にあっさりと退場。
虞美人さんと項羽の熱愛のついでにつまみ食いされたイケメン…というふうにも見えてしまうのが残念でした。

いろいろな要素も多かったですね。
新所長と主人公の解毒、コヤンスカヤの目的、クリプタ―の思惑、始皇帝の統治、村人たち、これまでの異聞帯のモンスターの登場、虞美人の目論見、項羽の存在などなど…。

とはいえ、別に「ダメ」と言ってるわけじゃありません。
登場人物が多いことによってこれまでの寂しい戦いと違ってわいわい楽しく戦えましたし、要素も多かったですがその全てをあの短いシナリオでしっかり捌き切っていることはすごいです。
新登場サーヴァントも期待以上で嬉しいですね!

ロシアではヤガ、北欧では少年少女たちが暮らす世界を自らの手で閉じてしまった罪悪感を鮮明に感じていました。
パツシィさんと別れたくなかったし、ゲルダと北欧世界の最期は美しくも残酷でした。
それに比べると中国異聞帯はサクッと終わらせてもあんまり罪悪感は無く、物語的にも「次はインドだー!」みたいな雰囲気で軽い気持ちになれました。

始皇帝の潔さ、スパルタクスの輝きなど見せ場もたくさんあって本当に楽しかったです。
叛逆三銃士とかいろいろネタも満載でした。

第3章のテーマは「汎人類史よりも(ある意味)優れた人類史」だったのでしょう。
芸術などの娯楽や学問、行動の自由や老いの苦しみを与えられない代わりに飢えることも戦死することもない社会。
ロシアと北欧はいずれ断絶するであろう異聞帯でしたが、今回はループに入ってしまった袋小路の異聞帯とはいえ明らかに継続性のある社会。

あの異聞帯を閉じれたのは日本で豊かに暮らせているからじゃないかなと思いました。
世界は広いですから、紛争地域で生まれ育った人にこの中国異聞帯と汎人類史を比べさせたら異聞帯を選ぶのかもしれません。
芸術や音楽は心の贅沢ですから…。

4章は来年になりそうですが楽しみですね!

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