いにしえのCDを買い思い出の美化と向き合う春、『LOOP8』を添えて

こんなんだったっけ?

時間は誰にでも平等に等速で訪れる。
しかし幼い日々は亜光速でゆっくりと過ぎ行き、未来はカタツムリの如く駆け足で迫りくる。

気がつけばあの輝いていた日々は過ぎ去り、残るのは機械に支配されしディストピアである……とまではいかないが、まあ時間が過ぎるのは速いような遅いようなって感じですの。

そんな在りし日をいつの間にか美化してしまった者がいる。
何を隠そう私、ALVAだ。

過去の名作を思い出す

先日埠頭の先端で厄介な仕事を終え、タバコを吹かしながらふと夕日を見て思い出した。

……嘘だ。おっきなハンバーグを焼いているときに思い出したのですが、そういえば『ガンパレード・オーケストラ』というゲームに子供の頃にハマったなーって。

叔父さんからもらった古いゲームの中でもちょっと新し目の『ガンパレード・オーケストラ』というゲームに私は熱中していた。

当時は(今も)お金がなかったので最新のゲーム機は買えず、型落ちのゲームばかり遊んでいたのだ。

その中でも『ガンパレード・オーケストラ』は自由度が高くのめり込むように遊んでいた。
素敵なキャラクター、奥深いストーリー、臨場感溢れる戦闘シーン!
当時は子供だったので難しい話は分からない。しかし一つだけわかっていたことがある。
この世界を救うのだ、ということだ。

ガンパレード・オーケストラとは

こんなブログを読んでいる人はいないと思うが迷い込んだ人のために説明しておこう。

『ガンパレード・オーケストラ』というゲームは幻獣という未知のモンスターが人々を蹂躙している世界で学兵として学校に通いながら戦うといういま考えるとあまりにもブラック過ぎる設定のゲームである。
本作の特徴は自由度の高い日常パート、AI制御キャラクター、3D戦闘から生み出される学園生活ウォーシミュレーションだ。
日常生活ではNPCと多彩なコミュニケーションを取ることができ、その成否などが人間関係に影響していくという複雑な仕組みになっている。
AI制御のキャラクターたちはそれぞれ自分のルーティンや目的に沿った行動をしており、関係性の変化で対応も大きく変わる。
3Dの戦闘シーンでは幻獣と様々な兵器を用いて戦うことができる。
白の章、緑の章、青の章と3部作になっておりそれぞれ舞台も登場人物も大きく異なる。

地球防衛軍の戦闘パート、恋愛シミュレーションの学園パートを合体させたようなゲームだと思って欲しい。

さてこの聞くだに面白そうなゲームに私は子供の頃熱中していたのだ。
このブログを読んでくれている諸兄も欲しくなってきただろう。

しかしこのゲームは私の知らないところで「クソゲー」として祀り上げられていたのである。

『ガンパレード・オーケストラ』には前作『ガンパレード・マーチ』という不朽の名作がある。
PSで発売された前作はハード的な制約を抱えながらも見事にその不便さを面白さに変化させることに成功した稀有な作品である。

その続編的な本作はその精神性を受け継いでいるはず……だったのだが、あまりうまくいかなかった。
ここではなぜクソゲーと呼ばれることになったかは割愛する。

在りし日の思い出

さてそんなクソゲー『ガンパレード・オーケストラ』ですが、子供の頃の私はそんな評価がされているとは知る由もなく、白の章を遊んでいた。

よくわかんないけど世界を救うために勉強しながら戦ったのだ。

ほぼ役に立たない味方NPCを守るために戦場を駆けずり回ったのをよく覚えている。
強い兵器よりも弾薬補給車が一番記憶に残っている不思議なゲームだ。

さすがに今はあのゲームがそれほど良いモノじゃなかったのはわかるが、当時は箱庭系ゲームの少なさもあり目新しいシステムに魅了されていたのだ。

さて、話は冒頭に戻る。
私が大企業から非合法な最新兵器開発資料を盗み出して……いや、おっきなハンバーグを焼いていたときのことだ。

「あのゲームって音楽は良かったんじゃね?」と思い出したのだ。

ゲームはたしかに大味だったが、音楽は良かった!……気がする。

あの明るい学校の日常パートの曲、雪の青森の夜の優しい曲も。

ということで買ってみました。

誰も買ってないであろう『ガンパレード・オーケストラ』のサウンドトラックを!

PS2ゲーム「ガンパレード・オーケストラ」オリジナルサウンドトラック

Amazonで見てみると「誰も買ってない」と言ったが、レビューが2件ある。

2006年と2019年に1件ずつ。
どちらも★4~5と高い評価だ。

これほど古いCDがいまだに新品販売されており、まだ入荷予定があるというのはすごいことだろう。

CDを買うこと自体、私の記憶ではユカキラリタの「よぶこえ」以来だ。
思ったよりこの世界にはサブスクになっていないCDがあるので今後は逆にCDを買う機会が増えるかもしれない。

3枚組なので普通のCDケースを2つに重ねたようなサイズ感のケースである。
これも今となってはすこしレア感がある。

ミシッ…という今となってはあまり感じることもなくなったCDケースを開ける感覚はとってもノスタルジックだ。

美化されし過去の記憶

早速聞いてみた。

ここで冒頭のタイトルに戻るのだが、やはり思い出というのは美化されてしまう。

一切劣化していない古いCDに反して記憶は曖昧に劣化している。

一通り聞いてみたがどれが新鮮な気持ちで聞くことができた。
つまり覚えていなかったのである。

なんとなく聞き覚えがある曲もあるが、どのタイミングでかかっていた曲かは思い出せない。

聞けばすぐに蘇ると思っていた記憶はうんともすんとも言わない。

認めたくはないが勝手に私の脳内で美化されていたのだろう。

白の章でいえば7曲目の”Moon Stream”の印象が強く、なんとなく聞き覚えはあった。
5曲目の”Sleeping”はそのまま就寝時の曲だったはずだ。

他の曲も「なんとなく」聞き覚えはある。

でもあのキラキラした青森での思い出とは少し違う気もする。
これが歳を取るということなのかもしれない。

まとめ:過去は過去じゃよ、新作を見よ

誤解しないで欲しいのですが曲はどれも素晴らしいです。

もともと私は記憶力が良い方ではないので、GPOが好きだった方は購入してもいいと思います。

実は緑の章と青の章もプレイ済みなのでそっちのほうが聞き覚えがあったのですがどちらも白の章プレイから数年後にプレイしたので……。

瞬間のノスタルジックに騙されてこれからも幼少期の思い出の品を買う可能性があるので取止めもないですがこうして記事にして戒めておこうと思いました。

でもガンパレード・オーケストラ面白かったんだよなぁ……!

さて、そんなガンパレードシリーズと言えばやっぱり芝村裕吏さんですよね。
彼の新作がもうすぐリリースされるのです。

3/16リリース予定でしたが6/1に延期となってしまった本作。
個人的にかなり注目しています。

昨今流行りのAIですが1990年代に『高機動幻想ガンパレード・マーチ』でAIキャラクターを実装しコミュケーションさせるという先進的な試みを行っていた先駆者である芝村裕吏さんがこの時代にもう一度やろうっていうんですから気になりますよね。

気になる~っていう記事も書くかもしれませんが、ひとまず『LOOP8』ぜひチェックしてくださいね。

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