「Bioshock Infinite」
有名なBioshockシリーズの新作タイトルです。
新作とはいえ、前作や前前作のようなナンバリングタイトルではなく、舞台も深海都市から天空都市へと変わっています。
目次
天空都市の清々しさと陰鬱な差別社会の対比
本作の最大の魅力は美しく広がる天空都市を訪れることができる事だ。
天空に広がる美しい都市は産業革命時の古き良きアメリカがよく再現されており、プレイし始めるとその開放的なゲーム描画に見入ってしまう。
どこまでも広がる青空、木と真鍮と鉄で出来た街並み、街を歩く紳士や淑女達……。
この世界を冒険できるかと思うと、きっとだれでもワクワクが止まらないはずだ。
しかし表面的な美しさの裏には人種差別や労働者階級への差別などが蔓延しており、一部の資本家や特権階級のみが快適に暮らせる箱庭だということが次第にわかってくる。
ナンバリングタイトルでないBioshock
本作が前作と決定的に違うのは「主人公が喋る」ことだ。
Infiniteの主人公は「ブッカー・ドュイット」元探偵で、退役軍人でもある。
戦場でのつらい経験から酒とギャンブルに溺れ目先の美味しい話に飛びついてしまった、典型的な退役軍人。
そしてヒロインはミステリアスな「エリザベス」。
彼女は不思議な力を秘めた少女で、ブッカーに同行する。
なぜ依頼主はエリザベスを欲しがるのか、預言者との関わりは…等、謎が謎を呼ぶミステリー的な面白さが心地よい。
AIとしての優秀さと自然な存在感
本作のヒロイン「エリザベス」はAIコンパニオンだ。
コンパニオンといえば「Skyrim」や「Fallout3」などが思い出されるが、エリザベスはそれらのAIとは比べ物にならないほど人間的な特徴を持っている。
エリザベスは常に周囲に興味を向け、アイテムなどにも反応して話しかけくる。
通貨や銃弾などプレイヤーが不足しているものを見つけると「必要でしょ?」と言って渡してくれるのだ。
敵に囲まれて死にそうなときにライフパックをどこからか見つけて渡してくれる……まさに天使のような存在である。
彼女は直接戦わないが、プレイヤーを影でしっかりと支えてくれる頼れる相棒としてデザインされている。
空中都市というフィールドを活かした立体的な戦闘
空高く広がる青空が見えるのに、眼下に雲海が見えるのに地べたに張り付く戦闘に魅力はない。
Bioshock Infiniteでは空に張り巡らされた「スカイライン」と呼ばれるジェットコースターのレールのようなものを利用して空中を高速移動できる。
シームレスではないが一つ一つのマップは十分に広く本能的な落下の恐怖と闘いながら移動する戦闘はとてもスリリングで刺激的だ。
空という素材を良く活かした自由度の高い戦闘が本作の醍醐味と言えるだろう。
ビガーを使った特殊能力は戦闘のスパイス的な役割
ビガーとはInfiniteにおける特殊能力である。
主人公は複数のビガーを飲み、様々な能力を使いこなす。
敵の種類がお世辞にも多いわけではないので戦闘は単調になりそうだが、ビガーの存在によって戦術面で様々な選択肢が生まれことが良いスパイスとなっている。
ビガーの種類は様々あるが、トラップのように地面に設置しておけるのも戦術的な利用価値が高かった。
また、ビガーはソルトというMPのようなものを消費して撃つため、連射できない点もゲームバランスを壊さないようにデザインされている。(自動回復もない)
総評:ゲーム的な面白さと歪なアメリカを味わえる良作
Infiniteの舞台である天空都市コロンビアは一見の価値があると言える程美しい世界で、そこで共に行動するヒロインも魅力的で美しい。
世界観は昔のアメリカの光と影を映し出していて、よく出来ている。
スチームパンクのような雰囲気もBioshockらしいといえるだろう。
スカイラインを滑る感覚は他のゲームにない楽しさだった。
ただ、ゲーム自体のボリュームがほんの少し物足りない点や中盤辺りの敵や中ボスがほとんど使いまわしなのは少々勿体無い。
エリザベスへ指示を出したり、任意に会話できればもっとエリザベスに夢中になっていただろう。
少々ネタバレになるが途中、反体制派に没収された飛行船を返してもらうために反体制派の指示に従い戦って、敵の飛行船に乗り込み飛行船をぶっ壊すという展開があったが、そのまま敵の飛行船を奪って逃げれば良かったのではないか?と思ってしまった。
また、デイジー・フィッツロイがあそこまで切羽詰まってるとは思っていなかったため、突然あんなことになって非常びっくりした。
ちょっと説明不足感は否めないが、物語には意外にも引き込まれていく。
全体としては2013年のゲームタイトルとしては5本の指に入るぐらいの出来の良さだった。
日本語版が安く購入できる点も海外ゲームとしては非常に好感が持てる。
2Kはその辺がしっかりしてて大好きだ。