課金について少し思ったことを書いてみます

ゲーマーの端くれとして・・・。

今回課金について問題になっているのはElectronic Artsが発売した『Star Wars™ Battlefront™ II』が発端です。

そもそもこのゲームに関して、前作をプレイした感想は「最悪」でした。
カジュアルというよりはチープなシューティングにうんざりさせられたのを覚えています。

それでも私はこのゲームに関して評価は悪くとも、STAR WARSファンにとっては憧れの世界に入れてしかもヒーローとなって戦うことができる価値あるものだと感じました。
巨大兵器は見上げるほどに大きく、敵のヒーローと対峙したときはさながらショッカーの気分。

我先にと走って見苦しくヒーローになるためのシンボルに群がる様には辟易しましたが、それでも男の子の夢が叶う瞬間でもありました。
傑作ではなかったでしょうけど、人によっては素晴らしいゲーム体験だったはずです。

さて、そのゲームの第二作として発売された『Star Wars™ Battlefront™ II』の評価はどうだったのでしょうか。
こちらをご覧ください。

なんとユーザースコアが0.8という史上最低レベルにまで下がってしまいました。
ちなみに現在では0.9と少しだけ上昇しています。

さて、なぜこんなことになったのでしょうか。

札束で顔面を殴れ!海外で嫌悪される”PAY to WIN”

現在世界の課金の流れは日本とはかなり乖離しています。

日本ではガチャ課金というほぼギャンブルのような課金システムを導入しており、荒稼ぎしています。
それは勝敗に関わるものもあれば、そうでないものもあります。
しかし日本ではそれほど問題にならず、結局今まで続いており文化になっていると言ってもいいでしょう。

海外ではガチャは存在していますが、あくまでゲームの勝敗に関係のないアイテム(コスチュームやアイテムペイントなどの外見要素)がランダムに手に入るタイプのものが多いです。

今回『Star Wars™ Battlefront™ II』のガチャではキャラクターを強化するアイテムが出てくるため、課金すればするほど強くなります。

たとえばその強化が「時短」のような程度のものであり、ゲームにおいて時間のある人と時間の少ない人の間を埋める程度のものならまだよかったかもしれません

もし課金しないでアンロックしようとすると全てのヒーローのアンロックに百数時間程度かかると見られています。(1時間あたりのクレジット収入は1500と仮定しており前後する可能性は十二分にあります)
また、ソースは不明ですが全てのアンロックに数千時間かかるのではないかと見られています。

そして課金することでそれがかなり早くなるのか・・・というとそうではなく、課金してもガチャというランダム・ギャンブル要素によってアンロックされるので目当てのキャラクターを使用できるか、強化できるかという点で見ると数万円程度の課金では済まないシステムになっています。

ということは、自分が7000円近く支払って買ったゲームのすべてを楽しむには数千時間または数十万円の課金を行う必要があるということ。
しかも課金することで強くなるので、課金者は強くなり非課金者は餌になるという構図が出来上がってしまう。

このあたりが問題点だったようです。

今回の問題の影響

この問題によって様々な影響が出ました。

前述の通り『Star Wars™ Battlefront™ II』のユーザースコアは0.8まで低下しました。
これは大手メーカーのリリースするAAAタイトルとしては信じられないほどのコミュニティの拒否反応であり、EAもまさかこれほどの反発が起こるとは思わなかったのでしょう。

そしてさらに問題なのは政治の場にこの問題が持ち込まれてしまったことです。
ベルギーの賭博委員会で問題になっているのがこのルートボックスシステム。
「お金と中毒を混ぜ合わせた賭博だ」として子供への影響などを鑑みて課金というシステム自体の規制をすべきだという声明を発表しました。(※まだ最終的な決定ではありません)

要するに現金を使用して購入したものの中身がわからないというのはギャンブルではないかということのよう。
いまさらのようではあるが、確かに言われてみれば換金こそ出来ないものの射幸心を煽るギャンブル性のあるゲームはよくないこともわかります。

どこが問題だったのか

この問題を深く理解するためにいくつかのゲームと比較してみましょう。

例えば『League of Legends』では課金もあれば期間が限定されてはいるもののミステリーチェストというランダムクレートシステムも実装されていますが、コミュニティからはかなり好意的に受け止められています。

『Overwatch』はどうでしょうか。
SWBF2と同じくパッケージを買ったあとに任意で課金して、レベルが上がることでもらえるボックスをいつでも購入できますがこれもコミュニティは好意的に受け止めています。

このふたつのゲームに共通しているのは、ゲームの性能に関係のないものが入っているということです。
課金して強いアイテムを買うというのは海外の競技性の強いゲームではほぼ見られない文化です。
この禁忌を破って問題になったのが『PAYDAY2』です。

『PAYDAY2』の問題はマイクロトランザクション問題の悪しきモデルケースです。
2015年頃に起きたこの問題は今のSWBF2の問題のようにゲーム業界を大きく揺らしました。

そもそもPAYDAY2はユーザーの人気に大きく支えられた長寿のゲームで2013年にリリースされてからコミュニティは大小の問題はあれどゲームを擁護してきました。
膨大な数のDLCを販売する「DLC商法」の典型的なゲームではありましたが、ゲームを長く存続させるためには仕方がないこととユーザーもある程度割り切っていました。

しかし2015年のアップデートで追加されたマイクロトランザクションシステムによってこれまでDLCで儲けてきたにも関わらず、さらにマイクロトランザクションでも儲けようとしているとコミュニティに受け止められてしまったのです。

マイクロトランザクションとは要するに少額の課金を何度も繰り返させる仕組みです。
ゲーム中にランダムでドロップするSAFE(金庫)は、手に入れてもそのままでは開きません。
これを開くには課金でドリルを買わねばならず、1回2.49ドルで購入しなければいけません。
使ったドリルは当然再使用も出来ず、また金庫を手に入れたら買わねばならない、という仕組みです。
さらにこの金庫からドロップするアイテムはランダムで、ゲーム内の武器の性能を引き上げる効果があるものもあり問題視されます。

このアップデートはこれまで支えてきたユーザーが一気に離反する事態を招きました。
また、それまでのDLCで提供してきた武器を下方修正したことや、開発元とのいざこざによってコミュニティサイトが閉鎖したりとおよそ考えうる全てのネガティブな事態が発生したのです。

この問題の要素は
・お金を出さないと武器を最強にできない(無課金者は最強にはなれない)
・ランダム性、ギャンブル性があり一度の課金で強くなれるかは運次第(ほぼ不可能)
ということでしょう。

現在ではかなり緩和されていることも書いておきます。
面白くていいゲームですよ。

課金で性能が上げることを反射的に嫌うユーザー

ここまで長々と書いてきましたが一言にまとめると・・・

「課金のガチャ(クレート)で性能の上がるものを出してはいけない」ということ。

この1点だけ守れば問題にならないのです。
クレートから出るのは服やスキン、武器の色を変えるなど性能と関係のないものにすべきです。
ユーザーはDLCですら嫌悪感を示す人も多いです。
なぜならパッケージで買って、そこのゲームのすべての要素が入っていないことは法律的にも道徳的にも問題がある可能性があります。

反面、もはや1本7,000円程度では開発費をペイできなくなっているという開発側の事情もあります。
スマホゲーで数億稼ぐメーカーがある中で、今後4KフルグラフィックのAAAゲームを制作しても元が取れるのでしょうか?
正直かなり厳しいことは誰でもわかります。
かといって1本2万なんてことになればゲーム業界は一気に冷え込むでしょう。

この金銭的な問題を解決するのがガチャだってことですね。

個人的な話

正直、課金なんて無くなってしまえばいいのにとは思います。
スマホゲームもガチャガチャガチャ。
私はそんなものに課金しませんし、ほとんどプレイしません。

逆にSteamでもういくら使ったかは思い出せません。
思い出したくもないです。

どういうことかというと、私は「自分にとって価値のあるものにはお金を払う」ということ。
そしてそれはどのゲーマーでもそうだということ。

スマホの課金だって自分にとって価値があると思うならすれば良いんです。
私は否定しませんし、むしろ気持ちはわかります。

ただ一定数課金を許さない人々がいて、その中にはなぜか他人の課金も許さない人もいるのでその人達の気持ちはちょっとわかりません。
私は自分がやってるゲームにたくさん課金してくれる人にはむしろほんの少しの感謝すらあります。笑

ゲーム会社側はぜひ「課金したい」と思わせる仕組みを作って欲しいと思います。
たとえば『League of Legends』でまだUS鯖しか無かった頃に、1年無課金でプレイしたあげく「お礼の気持ちを込めて1万円課金しよう」と思ったのを思い出します。
その後いくら課金したかはもう思い出せませんが。笑

「課金しないといけないのか・・・」じゃなくて「課金しないと申し訳ない」とか「課金したい」と思わせるようなコンテンツこそが必要なはずですよね。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加