『篠崎くんのメンテ事情』

最近 首が取れやすいのだ

あらすじ

体の中に知らず識らずのうちに大量の機械が内蔵された篠崎くんと、メンテナンスのためにやってきた魔女ユーヤケさんのお話。
1話を見ればだいたいわかるのでwebで公開されているものを読んでほしい。ぜひ!

httpss://comic.pixiv.net/works/4252

キャラクターがかわいい

全体的に登場人物が可愛い。すごい。
女性キャラはもちろんだが、男性キャラも素晴らしい。
具体的には、”シャツにネクタイが似合う黒髪短髪主人公”はもちろん”ベストに革手袋の短髪八重歯眼鏡秘書”、”どこでも寝ちゃうゆるふわ体格大きめ茶髪ボサボサ男子”、”ダウナー系白髪赤眼制服少年喫煙者”など素敵なキャラクターばかりだ。
これはつまりハンバーグカニクリームコロッケナポリタン的な「おいおい、そこまで美味しいもの一緒にしたら起きちまうだろ?ビッグバンが☆」的な、好きなもの全部載せした夢のお子様ランチ的な感じでとても良い。
逆に主人公の外見をある程度シンプルに抑えてあるのも効果的だと感じた。

というのも作者様はAmazonの他の著作を見てみると絡みもちゃんとあるBL系の作品を描いてらっしゃる方のようなので、男性を魅力的に描くセンスがあるのだと納得した。

一方で女性キャラクターもちゃんと魅力的なのだ。
個人的な意見ではあるが露出の多い女性キャラクターは苦手なので、可愛らしくちゃんと細部までデザインされた素敵な服を着ているキャラクターたちばかりなのでとても幸せだ。
衣装にこそキャラクターの性格や志向が表れると考えているので「この服は仕事着なんだな」とか「あ、友達との飲みの席ではこんなラフな服装になるんだ」というような妄想が捗るので有り難い。

全キャラクター大好きだが、特にコンペイトーがキャラクターデザイン・性格共に大好きだ。
バニーっぽいのでバニーガールのような露出が多い安直な服装にすることもできたはずなのに、ちゃんと魔法使いっぽさと自由気ままっぽさと内向的な雰囲気とが見事に服装のデザインとして落とし込まれている。
全キャラこだわりを感じるが、なんとなく作者様の男女を問わず白髪・銀髪系キャラへの強いこだわりを感じている。
一方で男性は暗い色の短髪にこだわりを感じる部分もある。特に人蔵人間の3人はそれぞれヘアスタイルや服装に至るまでキャラクターとの親和性が高く本作における大好きな部分の一つだ。

謎だらけのストーリー、しかしスラスラと読めてしまう

ストーリーに関しては微笑ましく可愛らしい内容で、安っぽい恋愛描写などもなくスラスラと読みやすい。
所々に伏線があるが、奇想天外な内容ではなく納得しながら読める。
少しずつ篠崎くんの謎が明らかになるという流れよりも、篠崎くんの謎とそれを取り巻く魔法を中心とした環境について徐々に開示されていくので飽きることなく読み進められる。

それでいて「あれ?よく考えたらグレってなんだ?」とか「ユーヤケさんかわいいなあ……あれ?ユーヤケさんのことなんにも知らねえぞ!?」みたいな状況に読者がなっているというのは本来であれば説明不足に当たるのかも知れないが、本作においてはむしろそんなことを感じさせない不思議な力がある。

つまり情報の開示を作者がコントロールしているのだ。
6巻までスラスラ読ませておいて「あれ?よく考えたら登場人物の過去のこととかぜんぜん知らないぞ?」という状況を生み出しているということは、今後の話の展開に大きく期待ができるということに他ならない。

ここで他作について論じるべきではないことは百も承知だが、誤解を恐れずに言えばコトヤマ先生の『だがしかし』とどこか近しい感覚を覚えた。
これは何かが似ているというような俗っぽい話ではなく、強力な外見的特徴の少ない人物(首はとれるが)と超俗的な雰囲気を持つ人物が出会うことで展開する話だからだろうと思う。
単純に篠崎さんの三白眼っぽい描写からココノツくんを思い出しただけかも知れないし、機械に熱中するユーヤケさんを見て夢中になれることの良さに何かを感じたのかも知れない。
とはいえ本作はギャグではないし1話ごとに駄菓子を紹介するわけでもないから、勘違いかもしれない。
どっちも好きな漫画なので自分なりに分類上そう認識してしまったに過ぎないのだろう。

アニメ化してほしい

これまた個人的な欲望だが本作をどうかアニメ化してほしいのだ。
具体的には3巻の表紙にもなっているハザクラ家でのパーティーの描写をアニメで見たい。
表紙でカラーになって嬉しかったが、それ以上にアニメになったらきっと明るい色に照らし出されたヨーロッパ風の街並みがとっても綺麗なんだろうなと。
ディズニーランドとかシーの夜の雰囲気を5倍ぐらい賑やかにした感じだったら最高だ。

アニメには詳しくないのでどこの会社が良いとかは知らないのだが、表紙を見てわかる通りカラーの雰囲気がとても良い作品なのでそのまま活かせるような感じだと嬉しい。

蛇足

個人的な予想だがユーヤケさんのそばにいるグレの本体が篠崎くんなのではないかと考察しておく。
マヒルさんの著書「暮」が大切な友人グレのことを指していること、大量の機械類(主に兵器)をグレが管理させられていることはすでに既刊でわかっている。
しかし現在のグレはマヒルさんと出会ったときのサイズからかなり小さくなっており、魔法があるとはいえ何かを出し入れしている描写などがない。
そして篠崎くんの内蔵世界には大量の用途不明の機械が収蔵されており、中には兵器の類もある。
このことから恐らくグレと篠崎くんは何らかの形でつながっている、もしくはグレを人間としたのが篠崎?
12歳の時になぜか手術を受けて首が取れるようになっていることから何か理由があってマヒルさんが助けたとしたら仕方なく、もしくは治療の対価として人蔵人間になったのかもしれない。(もしくはグレが人間として生きてみたいと言ったとか?)

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