RADIO:ALVAS Game of The Year 2023

いつも勝手に決めています

インディーズタイトル

『SPELL DISK』

ローグライクゲームに『Vampire Survivors』のような自動攻撃、そしてそのトリガーを「ディスク」として装備する新機軸のインディーズゲーム。
例えば「歩く」ディスクと「電撃」のスペルを組み合わせれば、歩くだけで電撃が出る。
そこに「電撃攻撃でチャージ」ディスクなどを組み合わせることでスペルがスペルをトリガーするという連鎖効果を生み出す面白さがある。
独創的なシステムと慣れ親しんだシステムが綺麗に融和して面白いゲームなっている。

『DREDGE』

ジメジメして薄暗いクトゥルフ世界観の諸島で漁船で魚を捕るゲーム。
そもそもシンプルで楽しい魚釣りゲームが土台となっており、そこにさらにクトゥルフの「まったりした恐怖」を味わうことができる。
クトゥルフ系の小説冒頭で「なんだ……?この気持ちの悪い魚は……。」みたいな雰囲気がずっと続く。
もちろん本筋の話はちゃんと「いあいあ」した雰囲気だが、一方でちゃんとお魚を売って船を改造するという楽しい目的もある。

『8番出口』

非常にシンプルで面白い試みのゲーム。
本作はほぼ同じ見た目の数秒あれば通り抜けられる程度のエリアしかない。
プレイヤーはただただ同じ見た目の駅の地下通路を何度も通り過ぎ、無事8番出口へたどり着けばクリアとなる。
一見なんてこと無い通路だが「異変があれば引き返す」というシンプルなルールが面白さを引き立たせている。
通路に入ってすぐにわかるような異変もあれば、サイゼリヤのまちがいさがしのような難しいものもある。

メジャータイトル

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』

前作『ブレスオブザワイルド』がゲーム史に残る傑作だったが、本作もまた長く語り継がれるゲームになるだろう。
ブレスオブザワイルドが発想で瞬間を生み出すゲームであれば、本作は発想を長く形にすることができるゲームである。
物と物をくっつけ、動力のあるギアと組み合わせることでゲーム内を物理法則のサンドボックスのようにしてしまった。
プレイヤーは開発の設定したルートを進んでもいいし、ギアを活かして想定外の方法で解決してもいい。
子供にとっては物理法則を学ぶ良い知育効果があるだろうし、大人にとっても実験場として遊べる余地がある。
ストーリーも素晴らしいの一言に尽きる。
惜しむらくはDLCが存在しないことだろうか。

『ペルソナ5 タクティカ [Persona 5 Tactica]』

傑作『ペルソナ5』のスピンオフ作品である本作はデフォルメされたキャラクターとシリーズ初のシミュレーションRPGが特徴だ。
新しい試みは評価できるが、ボリュームの少なさは気になる。
従来のペルソナシステムをSRPGに適応させるために削ぎ落とされた要素がゲームそのものの面白さに影響を与えた感はある。
ペルソナ(悪魔)のアイテム・装備化の問題は前新作『ソウルハッカーズ2』でもあったが、本作では特にただの装備品と化している。
「ファンゲームとしてはあまりにも良い出来」であるが「ペルソナシリーズとしてはそれほどでもない」という感想だ。

『Fate/Samurai Remnat』

Fateの世界観+江戸で聖杯戦争というゲーム。
EXTRAシリーズ以降独自に発展していた3Dアクションシリーズを継承した最新作。
本作はFateシリーズらしくストーリーは秀逸だが、アクションゲームとしてはかなり大味な印象だ。
今後もシリーズが増えていくと嬉しい。

『ARMORED CORE VI』

10年ぶりのアーマードコアシリーズの新作というだけで十分に評価に値するだろう。
しかもそれが『デモンズソウル』から続くソウルシリーズの特徴まで継承していたら文句のつけようがない。
本作は難しく難易度が高い死にゲーの要素を上手くアーマードコアに落とし込み、その上で高速ロボバトルを実現している。
またストーリーもシンプルでありながら惹き込まれるような面白さがある。

『Starfield』

Bethesdaの最新作。
期待されていた「新しいゲーム体験」はなく、非常にオーソドックスなベゼスダゲーであったためこれが現代でも通用するかは難しいところでもある。
ランダムに発生するイベントの面白さは必見。
『Elite Dangerous』や『No Man’s Sky』のような広大な宇宙を活かしきれておらず、移動にファストトラベル必須なだけのような印象はもったいない気もする。
戦闘システム、会話システム、アイテムのUIなどは『Fallout3』や『Oblivion』からさほど変化していないのは「老舗の味」なのか「進化できていない」のかはプレイヤー次第だろう。

『ホグワーツ・レガシー』

名作『ハリー・ポッター』シリーズの舞台であるホグワーツの地を自由に歩ける、というだけでGOTYといっても過言ではないだろう。
不思議な回転する階段や喋る絵画、空飛ぶホウキなど想像することしかできなかった世界を体感できるのだ。(筆者は原作小説派で映画はある程度しか観ていない)
ゲーム内の戦闘も大味だがよくできている。
ただの学生でも密猟業者をブチ殺しまくるのは気になるし、そこで助けた動物を売り払うので主人公自身も密猟業者なのも気になるが、そんな些細なことよりハリーポッターの世界に入れることが嬉しすぎる。

『Wartales』

過酷な中世世界で傭兵団を率いるゲーム。
キャンプを発展させつつ、傭兵団に給料や食料を供給し世界を旅するのだ。
戦闘はタクティカルストラテジー、戦略タイプのゲームで奥深い面白さがある。
オープンワールドのマップが複数あり、章ごとに次のエリアへ進むという方式。
エリアごとに決まったテーマがあり、大筋の話もありつつ興味深い展開が楽しめる。

『PAYDAY3』

強盗FPSゲームの最新作。
往年の名作で10年ぶりという点でも似たゲームがあるが、残念ながらこちらは期待よりも大きく下回る展開となった。
物足りない要素、アップデートの遅延、前作でできたことができなくなったことなど不満点は多い。
しかし新作らしい要素もあり今後の展開に期待したい。

『ALAN WAKE2』

相変わらず筆者が映画風ゲームにあまり興味がないこともありいまいちピンとこないが、それでも興味深いゲームであることは確かだ。
名作『ALAN WAKE』の正当後継作である本作はエッセンスを受け継ぎつつ難解で全く新しいゲーム体験を味わえる。
個人的には『CONTROL』の方が直接的な戦闘があるので好きだが、本作も散らばった不可解な謎をひとつずつ拾い集める楽しさがある。

Radio:ALVAS Game of The Year 2023

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』

これまでゼルダの伝説シリーズは良くも悪くも開発者の思い描いた動線をなぞる遊び方が基本でした。
それを前作『ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド』で現代的なオープンワールドを導入したことで(ゼルダシリーズはオープンワールドの始祖的存在ですが)遊び方に大きな幅が生まれます。
そして本作では世界だけでなくシステムすら自由にしてみせました。
もはやこのゲームに”決められた遊び方”など存在しません。
丸太を大量につなげてもいい、トゲだらけの車を作ってもいい、ロボットで戦ってもいい。
そしてもちろんリンクを信じて単騎で挑んでもいい。
そこにはあなただけの”ゼルダの伝説”があるのです。

本作は偉大な前作を正当進化させた作品です。
それはよくある売り文句ではなく、本当にすべての面で進化しています。

グラフィック、ゲームシステム、操作性、UIなど全てにおいて傑出していますが、その中でも音楽と演出に関しては他の追随を許さないほど素晴らしいものになっています。
これほど自然に美しく違和感のない音楽と演出をゲームの世界で実現できるのでしょうか。
自分専用のオーケストラがいるかのような感覚です。
願わくばこのような「必要な場面で必要な音楽を流す」という地味ですが最高の演出を他のゲームでも味わってみたいです。

少しネタバレになるかもしれないですが、本作の最終シーンは「自分で操作」することができます。
これはゲーム冒頭の「操作できない」シーンとの対比なのは言うまでもありません。
自分で操作して戦ってきて、最後のエンディングがムービーというのはよくある話。
しかし本作は最後まで自分の操作でエンディングへ入り込むことができます。

前作を筆者は「オープンワールドとは斯くあるべし」と評しました。
オープンワールドとはただの広い空間ではない、もっと自由なものなのだと。
本作は「無数のスタートとエンディングへの収束」という点を評価したいです。
広く美しい天空の世界も、暗く果てしない地下世界も、全てはひとつのエンディングへと至るための要素に過ぎません。
これが「ゼルダの伝説」なのだと。

過日、The Game Awardsでは『Baldur’s Gate 3』がGOTYに選ばれました。
個人的にはプレイできていないゲームであり日本語版の実装が12/21のため評価できていません。(英語でもよかったのですがTRPG的要素などで日本語でちゃんとプレイしたい気持ちがありました)
そのため自信を持って2023年のGOTYを決めることはできませんでした。
ですが少なくとも現時点で私がプレイした数々のゲームの中でも『ゼルダの伝説ティアーズ オブ ザ キングダム』は最上位クラスの傑作だと自信を持って言えます。

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